2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K19226
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
荊木 康臣 山口大学, 大学院創成科学研究科, 教授 (50242160)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐合 悠貴 山口大学, 大学院創成科学研究科, 准教授 (20648852)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 群落内環境 / 群落内照射 / PPFD / 投影葉面積比 / iOSアプリ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、植物工場において、栽植密度を最大限に高めて、栽培面積あたりの生産効率の向上をめざすことを目標に、密植に伴う栽培環境の悪化を群落内環境制御により改善することで、栽培面積あたりの収量を評価指標に、栽植密度の最適化を試みることを目的としている。 2023年度は、昨年、その有効性の可能性が示唆された密植時の群落内補光方法、すなわち、密植時に個体間の相互遮蔽が起こり始めた段階で光源の一部を群落内に移動する方法の効果を確認し、照射条件を最適化するために、光源の種類および栽培パネルにおける株の配置を変え、栽培試験を行った。その結果、等間隔に株を配置したパネル(株間10.5cm、95株m-2)を用いて、光源を分散配置できる点光源からなる白色LEDテープライト(19.2 W、LED間隔約0.8 cm)を利用して群落内照射を行った場合、群落内照射を行わない密植区に対して、個体平均生体重が有意に大きくなり、試験区内でのばらつきも他の密植群落内照射区と比べ小さくなり、さらに、単位面積当たりの生産量は、対照区(65株m-2)に対して、約35 %増加した。以上、分散配置が可能な光源で群落内照射をすることで生産効率が向上する可能性が示唆された。なお、群落内への光の浸透を期待して密植時に緑色光を照射した場合は、明確な影響は認められなかった。さらに、群落内照射の生理状態への影響として、光合成光化学系2の量子収率をクロロフィル蛍光により測定したが、密植もしくは群落内照射による明確な影響を認めらなかった。一方、収穫物の色やクロロフィル含量、さらに形状が、密植により変化する可能性が示唆された。 密植時の個体の成長速度の非破壊解析手法については、栽培面の上部から撮影した画像を利用して、AI画像解析技術を用いて投影面積を推定する手法を確立し、投影葉面積比を自動で計測するiOS用のアプリを作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、密植時の光環境制御法として、群落内照射の有効性を確認でき、また、どのような光源を使うべきかに関しても知見を得ることができた。さらに、非破壊生育モニタリング法として、投影面積比の簡易計測法も確立できた(iOSアプリを開発した)。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度では、栽植密度を変えながら、群落照射のタイミングを含めた光照射条件の最適化を図ると同時に、収穫物の品質の評価を行い、密植の効果(単位面積当たりの生産量の増加)を最大限引き出すための方法を見出す。品質評価に関しては、色、形状に加え、食味試験も行う予定である。
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Causes of Carryover |
今回、次年度使用額が生じたのは、消耗品として購入を予定していたLED光源、センサ、カメラ類について安価なものを調達できたこと、および植物モニタリング技術の開発が効率よく進み、謝金の支出が抑えられたことによる。これらの次年度使用額は、最適化に向けた栽培試験の反復における消耗品の購入、及び成果発表の公表における論文英語校閲費やオープンアクセス費用に充てる予定である。
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Research Products
(4 results)