2022 Fiscal Year Research-status Report
Investigation of ligands against an unique receptor expressing in avian oocytes and its physiological function
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22K19244
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
村井 篤嗣 名古屋大学, 生命農学研究科, 教授 (10313975)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 畜産学 / 生理学 / ニワトリ / 卵 / 栄養素 / 脂質 |
Outline of Annual Research Achievements |
・産卵期のニワトリの卵母細胞膜で「低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質2ライク(LRP2L)」と仮称される機能未知の遺伝子が発現することを見つけ出した。本研究では、この受容体の生体内リガンドを同定することを目的とする。 ・ニワトリの卵母細胞に由来するcDNAを鋳型として、膜貫通領域を除いたLRP2L(翻訳開始点から31-2,120アミノ酸残基をコード)の遺伝子断片をPCRで増幅した。増幅した遺伝子断片は哺乳類細胞用発現ベクターに連結し、分泌型LRP2L発現ベクターを構築した。 ・哺乳類細胞を用いて、分泌型LRP2Lを培地中に放出させて、その培地からLRP2Lを精製した。その結果、分子サイズ約300 kDa前後に明瞭な単一のバンドが検出された。以上から、分泌型LRP2Lは予想通りのサイズで作出できたと判断した。 ・作出した分泌型LRP2Lをウサギに免疫し、リガンド結合部位に対する特異抗体を作出した。この抗体は、LRP2Lと特異的に結合することを確認した。今後、この抗体を利用してLRP2L受容体と候補リガンドとの結合を阻害することが出来るかを調査する。 ・作出したLRP2Lは予定通りのサイズで産生されるものの、分子サイズが巨大であるため、産生量が少ないことが判明した。そこで、分泌型LRP2L発現ベクターを鋳型として、4つの異なる分子サイズの分泌型ミニLRP2Lを作出した。そのうちの1つは培地への分泌量が高く、大量精製が可能となった。一連の成果により、LRP2Lのリガンド探索に活用できる組換えタンパク質を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度に計画していた分泌型LRP2Lの作出を達成することができた。膜貫通領域を除くほぼ全長サイズに近いLRP2Lは分子サイズが約300 kDaと巨大であったため、産生量の改善が必要となった。そこで、分泌型LRP2Lをさらに小型化したミニLRP2Lの作出に取り組んだ。分子サイズが異なる4種類のミニLRP2Lの作出に挑戦して、3つのミニLRP2Lを作出することができた。また、LRP2Lの特異抗体も作出することができた。現在までに本研究課題はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
大量生産した分泌型LRP2Lの組換えタンパク質を活用して、LRP2Lのリガンド探索を進める。LRP2Lを担体に固定化して、産卵ニワトリの血清と混合することで、LRP2L受容体とリガンドとの複合体を分離する。LRP2Lとともに分離されたタンパク質を質量分析装置で解析し、候補リガンドを同定する。また、候補リガンドの選抜に、2022年度に作出した特異抗体を利用する。 また、次年度はマウスの卵巣で発現するLRP2L受容体の発現特性を調査する。マウス卵巣からcDNAを得て、LRP2L mRNAのクローニングを行う。mRNAの配列からタンパク質を発現している可能性が示されれば、このLRP2Lに対する特異抗体を作出して、卵巣おけるタンパク質レベルでの発現部位を決定する。
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Causes of Carryover |
2022年度に大量合成するはずであった組換えタンパク質の発現ベクターの構築に手間取ったため、産生系は立ち上げられたものの、大量合成はできなかった。そこで、次年度に経費をまわして大量合成を行うこととした。
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Research Products
(3 results)