2023 Fiscal Year Research-status Report
生殖細胞間架橋因子RBM44とKIAA1210が形成する非膜オルガネラの解明
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22K19251
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岩森 督子 九州大学, 農学研究院, 特別研究員(RPD) (10711509)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩森 巨樹 九州大学, 農学研究院, 准教授 (70647362)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 生殖細胞間架橋ICB / 精子形成 / 非膜オルガネラ / RBM44 / KIAA1210 |
Outline of Annual Research Achievements |
精巣の精細管上皮には精子を産生する生殖細胞とそれを支持するセルトリ細胞がある。生殖細胞は生殖細胞間架橋 (Intercellular bridge: ICB)で結合されたまま増殖・分化する。セルトリ細胞はセルトリ細胞間に血液精巣関門(BTB)、セルトリ細胞-生殖細胞間にEctoplasmic specialization(ES)を形成する。いずれの構造体も欠損すると雄性不妊になるが、これら構造体の詳細な機能は未明である。我々が同定したRBM44、KIAA1210はICBに局在するだけでなくRNAと結合し、非膜オルガネラを形成する。非膜オルガネラはタンパク質-RNA分子が結合・解離を繰り返し、特定分子濃度になると液-液相分離を介して形成されるリボ核タンパク質(RNP)顆粒であり、遺伝子発現が調節される。非膜オルガネラに含まれるICBタンパク質はRBM44、KIAA1210が初である。本研究では、非膜オルガネラにおけるRBM44とKIAA1210の分子機能解明とそのICB局在の意義を探究し、ICBの機能解明に繋げることを目的とする。 これまで、ICBは生殖細胞間のシンクロニシティを担うと予想されてきたが、本研究はICBの機能解明を飛躍的に進める鍵となり、精子形成において重要な知見になることが期待される。本研究では、RBM44およびKIAA1210が構築する非膜オルガネラを分類同定し、集合体を形成するRNAおよびタンパク質を同定する。また、RBM44およびKIAA1210による液-液相分離・非膜オルガネラ形成を再現し、責任ドメインの同定と形成阻害実験から各々の機能を考察する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
生殖細胞から非膜オルガネラを回収することは予想どおり困難であったが、バックアップとして計画しておいた抗体を用いて行う免疫沈降実験で研究を進めることができているため。
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Strategy for Future Research Activity |
予算には限りがあるため、膨大なタンパク質およびRNAのデータから着目する因子を決定する過程に時間をかける。ターゲットを絞ったら、まずは、KIAA1210のノックアウトマウスとWTの精巣サンプルから抽出したcDNAにおいて、その遺伝子発現に変化がおきているか調べ、発現が変動している因子に着目するという段階を取り入れる。変化が起きたものに関して、組織免疫染色を行い、In Vitro実験を行う。
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Causes of Carryover |
学会発表を予定していた1人が急遽参加できなくなったことによる旅費と、実験の一部が変更になったことによる消耗品の誤差が生じたため。
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