2023 Fiscal Year Annual Research Report
線虫を用いた個体毎の老化・寿命制御メカニズムの解析
Project/Area Number |
22K19353
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
宇野 雅晴 国立研究開発法人理化学研究所, 生命機能科学研究センター, 上級研究員 (00742090)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 線虫 / 老化 / 機械学習 |
Outline of Annual Research Achievements |
老化・寿命が、種を超えて保存された普遍的なメカニズムで制御されることがわかってきている。一方で、加齢に伴い罹患する疾病や機能低下する臓器が個体毎に異なることに代表されるように、老化は多様で複雑な過程であることが明らかになりつつある。本研究課題では、従来のように老化過程の変化を集団の平均ではなく、個体毎の変化に着目するという新しい解析アプローチを試みる。モデル生物線虫を用いて個体別のイメージデータ並びにトランスクリプトームデータを、老化過程の個別データとして取得する。個体レベルで詳細に解析することで、同一種内の「多様な老化過程を複数の老化パターンへと細分化する」といった新たな知見を得ることに挑戦する。それら新たな知見と既知の老化・寿命制御因子との関連を解析することで、個体毎の老化・寿命制御メカニズムを解析する。 モデル生物線虫の老化による見た目の変化のデータをもとに日齢を予測する機械学習モデルの訓練を行った。その結果、若年期は見た目による分類ができるものの、中年期以降見た目による分類が難しくなることが分かった。 また、個体毎の遺伝子発現変化についてRNA-seqにより解析した。その結果、代謝関連遺伝子並びにストレス応答関連遺伝子の発現が変化することが分かった。この結果は、老化に伴う遺伝子発現変化を集団で解析した結果と一致しており、個体毎のRNA-seqの結果が、老化に伴う遺伝子発現変化の特徴をとらえていることを示唆している。今後さらに、老化に伴う個体間の老化に伴う遺伝子発現変化の特徴を解析することで、個体毎の老化過程についてさらに理解を進めていこうと考えている。
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