2022 Fiscal Year Research-status Report
CKD予防・治療手法の提唱を目指した尿毒症物質の腎毒性トリガータンパク質の同定
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22K19372
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
荒川 大 金沢大学, 薬学系, 准教授 (40709028)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤田 光 金沢大学, 薬学系, 助教 (40782850)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 尿毒症物質 / 慢性腎不全 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では慢性腎臓病 (CKD)の革新的な予防・治療方法の提唱を目標とし、尿毒症物質によるCKD増悪を引き起こすトリガータンパク質の同定を目的に研究をおこなっている。今年度は、尿毒症物質による腎臓への細胞毒性効果を特徴づけるため、CKD患者において顕著な血中濃度上昇を引き起こす6種の尿毒症物質を三次元培養ヒト近位尿細管上皮細胞に曝露した。その結果、三次元培養ヒト近位尿細管上皮細胞の細胞内ATP量は変化しなかった一方、インドキシル硫酸などにより細胞形態が変化し、またミトコンドリア膜電位マーカーの蛍光強度が低下した。このため、三次元培養ヒト近位尿細管上皮細胞はインドキシル硫酸などの尿毒症物質による毒性解析が可能であることが示された。オルガネラ機能への影響が観察された尿毒症物質のうち、低濃度条件下で毒性を示したインドキシル硫酸に着目し、その結合タンパク質の探索を行なった。インドキシル硫酸結合ビーズを作成するため、インドキシル硫酸に水酸基を導入した誘導体を新たに合成し、インドキシル硫酸誘導体と磁気ビーズを結合させた。その後、三次元培養ヒト近位尿細管上皮細胞由来のタンパク質とインキュベートし、インドキシル硫酸と結合したタンパク質を抽出した。得られたタンパク質についてプロテオーム解析を行なった結果、いくつかのタンパク質が同定された。さらにこれらの候補タンパク質をin vitro合成し、インドキシル硫酸結合ビーズとの結合性を確認した。今後、インドキシル硫酸との結合が確認されたタンパク質のCKD進展における役割を調べる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度の研究成果としてインドキシル硫酸の結合タンパク質の同定に成功した。次年度は見出された結合タンパク質の腎毒性発症における役割を調べる予定である。当初計画においても初年度は候補タンパク質を見出すことを目的としていたことから、順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
見出された尿毒症物質の結合タンパク質の腎機能を明らかとすることで、尿毒性物質によるCDK進展メカニズムを特徴づける。方法として、遺伝子導入細胞あるいはノックダウン細胞を用い、尿毒症物質曝露時における細胞応答の変化を特徴づけることを想定している。
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Causes of Carryover |
研究の進展に伴い、当初の予想よりも尿毒症結合タンパク質が見つかった。その知見を使用し十分な研究成果を得るために、当初の研究計画を変更する必要が生じたため、一部の研究を次年度も継続することとした。繰越分は次年度中に全て使用する。
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Research Products
(1 results)