2022 Fiscal Year Research-status Report
金魚免疫系×ヒトモデル化血液脳関門チップで変革する中枢送達型抗体開発
Project/Area Number |
22K19493
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
立川 正憲 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(薬学域), 教授 (00401810)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田丸 浩 三重大学, 生物資源学研究科, 教授 (50324554)
船本 健一 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (70451630)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 血液脳関門 / 抗体 / エンドサイトーシス |
Outline of Annual Research Achievements |
核酸やタンパク質を新たなモダリティーとする高分子薬を中枢疾患治療薬として開発する場合、ヒト血液脳関門(Blood-Brain Barrier, BBB)の突破戦略の構築は重要な課題である。近年、BBB受容体に結合する抗体と薬物との複合体を創製し、受容体介在型トランスサイトーシス機構(Receptor-Mediated Transcytosis, RMT)を利用してBBB突破を図る技術が注目されている。一方で、BBBにおける標的受容体は限定的であり、新たな受容体介在型トランスサイトーシスの分子実体の同定が必要である。本研究では、ヒト脳血管内皮細胞の細胞膜画分に対する抗体を創製し、BBBにおいてRMTの第一ステップとなる受容体介在型エンドサイトーシス機能を有する受容体を同定することを目的とした。ヒトBBBモデルとして脳微小血管内皮細胞(hCMEC/D3細胞)の細胞膜画分を抗原としてマウスに免疫し、ポリクローナル抗体を含む血清を取得した。免疫沈降とプロテオミクスを組み合わせた手法を用い、hCMEC/D3細胞の細胞膜タンパク質に対する抗体と結合する受容体タンパク質を同定した。同定した受容体の介在型エンドサイトーシス機能は、標的タンパク質に対するモノクローナル抗体の内皮細胞への内在化を検出することで評価した。その結果、抗体に結合するhCMEC/D3細胞の膜タンパク質として、既知のトランスフェリン受容体を含めて新規分子を同定した。同定された分子に対するモノクローナル抗体は、hCMEC/D3細胞へ内在化活性を示し、細胞内において粒子状のシグナルが検出された。同分子をノックダウンしたhCMEC/D3細胞では、抗体の内在化活性が有意に低下した。以上から、BBBにおいて介在型エンドサイトーシス機能を有する受容体の同定に至った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画の通り、網羅的プロテオミクスを用いてヒト脳微小血管内皮細胞の細胞膜画分における受容体の同定を行った。さらに免疫沈降法とプロテオミクスを組み合わせて、ヒト脳微小血管内皮細胞において受容体介在型エンドサイトーシス機能を有する新規受容体の同定に至った。
|
Strategy for Future Research Activity |
同定した受容体膜タンパク質の発現系の構築、タンパク質の水泡眼への免疫及び一本鎖抗体となる単鎖可変領域フラグメント(scFv)の取得に関する今年度の予備検討結果をもとに、研究分担者との連携を強化して、今年度に得られたデータを精査して標的受容体タンパク質を絞り込み、独自スクリーニングシステムを用いたBBBトランスサイトーシス抗体の選別を行う。
|
Causes of Carryover |
膜タンパク質の発現系構築に関する予備検討を、2024年度に継続して実施することとしたことに伴い、本実験に要する消耗品購入費分として次年度使用額が生じた。次年度使用額は、翌年度分として請求した研究費とあわせて、2024年度に膜タンパク質の発現系の構築実験に要する消耗品を購入する予定である。
|
Research Products
(2 results)