2022 Fiscal Year Research-status Report
抗原選択的免疫応答制御を実現する為の基盤システムの構築
Project/Area Number |
22K19547
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
田中 伸弥 九州大学, 生体防御医学研究所, 准教授 (80462703)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 抗原特異的免疫反応制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
特定の抗原に対する免疫反応を選択的に人為制御することは、副作用を極力低減した免疫関連疾患に対する治療法の創成に資するものと考えられる。本研究では、同疾患の中心的役割を担う抗原特異的T細胞の人為制御を実現する為、その基盤システムの構築を行うことを目的とする。B細胞による抗原提示依存的な細胞間相互作用が生じた場合に、CD4陽性T細胞において任意遺伝子の発現を制御するシステムの構築を実施した。まず、Notch分子の機能ドメインを用いることで、細胞間相互作用を介して、T細胞へ人工シグナルを伝達するシステムの機能性を検証した。本システムでは、人工リガンドセンサーによる人工リガンドの認識によって、センサー内の細胞内領域にデザインされた人工転写因子が切り離され、人工転写因子プロモーターの下流に配置された蛍光タンパク質遺伝子が発現するよう設計されている。人工リガンドを発現させたB細胞株と人工リガンドセンターを導入した卵白アルブミンOVA特異的なCD4陽性T細胞株をOVAペプチドの存在下、非存在下において共培養を実施した。B細胞に人工リガンドが存在しない、もしくは、OVAペプチドが非存在の場合では、蛍光タンパク質の発現は認められなかった。一方、OVAペプチドが存在する場合において、蛍光タンパク質が発現することが確認された。これは、本システムが、人工リガンド認識依存的であり、さらに、抗原提示を介した比較的安定した細胞間相互作用によって機能することが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞間相互作用に依存して、遺伝子発現を誘導する人工リガンド/センサーシステムが機能的であり、かつ、このシステムは、抗原提示を介した細胞間相互作用において機能することが明らかになった。これは、抗原選択的T細胞制御を実現する為の基盤的システムとして有用性があると考えられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
前年度で機能検証した人工リガンド/センサーシステムを改変することにより、特定の配列を有するRNAの導入に依存して、選択的に任意遺伝子の発現誘導が可能になるシステムを構築し、その機能を検証する。また、細胞間相互作用依存的な遺伝子発現系の効率について検証を行う。
|
Causes of Carryover |
人件費を支払うことで実施する実験の一部を研究代表者が実施した為。 次年度、物品費に使用予定である。
|