2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of new carriers utilizing with transplantation rejection mechanism in amnion membrane derived cells
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22K19557
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
吉田 淑子 富山大学, 医学部, 客員教授 (00171421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荒井 健一 富山大学, 医学部, 客員助教 (40752960)
岡部 素典 富山大学, 学術研究部医学系, 助教 (60283066)
小島 伸彦 横浜市立大学, 理学部, 准教授 (90342956)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | 羊膜由来細胞 / 羊膜由来上皮細胞 / 羊膜由来間葉系細胞 / 免疫寛容 / スフェロイド形成 / メチルセルロース / 膵島 / ヒト乾燥羊膜(HD羊膜) |
Outline of Annual Research Achievements |
重篤な糖尿病の治療法の一つである膵島移植は、最近漸く日本でも再開された。しかし、他人の組織を移植するため、拒絶反応の問題は避けることができず、一旦インスリン離脱(インスリ注射を中止する事)しても拒絶のために、再びインスリン投与が必須となる例も稀ではない。近年、免疫抑制剤の開発により、インスリン離脱期間の延長が報告されているものの完全とはいいがたい。本研究は、羊膜の免疫寛容能(拒絶を起こさないという性質)に着目し、羊膜組織とそれを構成する羊膜由来細胞を利用し、拒絶を起こしがたい膵島片を作成することで膵島移植の移植効率を上げる方法を確立する事を目的としている。 拒絶を起こしがたい膵島片の作成方法として、「その1」主に静脈投与により、膵島を移植する方法で、膵島を羊膜細胞で包み込む、「その2」皮下組織など、異所性に移植し、場合によっては移植片をとりだすことが可能なものである。膵島を羊膜細胞を播種したヒト乾燥羊膜( HD羊膜)で挟み周囲組織との区別を明確にする。を計画した。 本年度は「その1」の膵島片の作成を目指した。初期検討としてヒト皮膚線維芽細胞凝集塊(HDFaスフェロイド)を、羊膜由来上皮細胞(HAE)あるいは羊膜由来間葉系細胞(HAM)で被覆し、膵島片を作成した。HDFaスフェロイドの径、被覆する細胞の種類、被覆する細胞数(濃度)、細胞懸濁液の濃度を検討することで移植に適した膵島片の作成を試みた。その結果、スフェロイドの径は200μmで細胞懸濁液の濃度が0.5μlから1.0μlで被覆が可能であった。細胞懸濁液に浮遊させる細胞数は多い方が、被覆する細胞が重層化することが明らかとなった。今後、被覆する細胞が重層化させた方が拒絶を起こし難いのか、また、糖に対する反応性を阻害する事がないのかなど、機能的な面について、膵島を使用し検討する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
将来的にヒトでの応用を考えると、投与経路を現在の治療と同一とすることが肝要である。そのために、羊膜で被覆された膵島を想定し、初期検討として、HDFaスフェロイド(細胞業集塊)を用いた検討を実施した。HDFaスフェロイドを羊膜由来細胞で完全に被覆することができるかどうかが、本研究の重要なポイントであった。一般的な膵島の大きさである200μmのスフェロイドを利用し、羊膜由来細胞で被覆したところ、HDFaスフェロイドを羊膜由来細胞がきれいに被覆している像が、蛍光顕微鏡をもちいることにより被覆後の染色で観察することができた。今後作成した羊膜細胞被覆膵島の状況をチェックするために抜き取り検査後の染色で、容易に見ることが可能なことがあきらかとなった。 一方、 HD羊膜上に羊膜由来細胞を播種すること、及びその間に細胞塊を接着させるという「その2」の方法は、細胞を HD羊膜とHD羊膜の間に挟むというものであり、このようなサンドイッチ状態を作成することはすでに経験済みであることから、細胞塊を羊膜由来細胞で被覆することができたと言うことは、本研究の半分以上を遂行できたということと考えた。しかし、実際に膵島を用いて実験していないことから、現在の進捗状況は(2)のおおむね順調と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
膵島片の作成「その1」については、HDFa(ヒト皮膚繊維芽細胞塊)ではなく、ラットから膵島を単離/採取し、ラット膵島を HAE(羊膜上皮細胞)あるいはHAM(羊膜間葉系細胞)で被覆し、ラット膵島が正常に機能するか、また、免疫寛容を得ることができるかをin vivo および in vitroで検討する。羊膜由来細胞による被覆:ラット膵島あるいはヒト膵島とヒト羊膜由来細胞を培養液に一緒に懸濁して、メチルセルロース溶液の中に懸濁液を添加することで、10~30分後には膵島の表面に羊膜由来細胞を接着させ被膜化する。作成した膵島片を蛍光顕微鏡、走査型電子顕微鏡で観察する。膵島としての機能および免疫寛容をIn vitro で検討する。 膵島片の作成「その2」については、膵島を羊膜由来細胞を播種したHD羊膜上におき、サンドイッチ状態を作成し、in vitroで膵島の機能状況、および免疫寛容を得ることができるかを検討する。 「その1」「その2」それぞれの膵島片を糖尿病モデルラットに移植し、その有効生、拒絶の有無について検討する。
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Causes of Carryover |
実験開始当初は、ラットを利用した実験の一部も実施する予定であったが、当大学の動物実験室の工事が長引いたため、実験を開始することができなかった。そのために予定していた予算を次年度で使用することとなったため。
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