2023 Fiscal Year Annual Research Report
小腸吸収上皮細胞を構成する膜リン脂質による栄養素吸収機能の制御
Project/Area Number |
22K19716
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
三浦 進司 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 教授 (10342932)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 友紀 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 助教 (30908455)
林 久由 静岡県立大学, 食品栄養科学部, 准教授 (40238118)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | リポクオリティ / 小腸 / アシル基転移酵素 / リモデリング / 脂肪酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】腸管上皮は細胞膜に局在する栄養素トランスポーターを介して栄養素吸収を行うため、細胞膜を構成するリン脂質環境は栄養素吸収において重要な役割を担うが、リン脂質のsn-1位に結合するアシル基分子種の決定機構と、その生理的意義は不明である。そこで本研究では、腸管上皮特異的LPLAT7欠損 (iKO) マウスと同腹仔のLPLAT7 flox/flox (FLOX) マウスを用いて、腸管上皮細胞を構成するリン脂質のsn-1位のアシル基リモデリング機構の解明、および小腸の主要な機能である栄養素、特に糖質の消化・吸収機能への影響を検討した。 【方法】FLOXマウスと、villin-Creマウスを交配し、iKOマウスを作出した。マウスから腸管上皮細胞を単離し、リゾリン脂質へのアシル基導入活性とリン脂質クオリティの変化を解析した。次に、iKOマウスへ単糖及び二糖類の経口投与試験と、消化酵素活性測定を行い、糖質の消化・吸収機能を評価した。 【結果・結論】LPLAT7の欠損は、lyso PC、lyso PE、lyso PS のsn-1位への18:0-CoA 導入活性と、小腸上皮細胞中の18:0-PC、18:0-PE、18:0-PS量を低下させた。さらに、小腸上皮細胞の主要なPC分子であるPC (18:0_18:2) は、18:0がsn-1位に結合した分子であり、LPLAT7の欠損がPC (18:0_18:2) 量を有意に減少させることを示した。二糖類を経口投与した後の血糖値上昇は、スクロース、マルトース投与時にはFLOXマウスとiKOマウスに差は認められなかったが、ラクトース投与時の血糖値上昇はiKOマウスで抑制された。iKOマウスのグルコースの吸収には障害は認められなかったため、この変化にはラクターゼ活性とラクトース分解反応の低下が関与することが示唆された。
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Remarks |
優秀発表賞受賞:小野利佳子、佐藤友紀、村上紗希、三好規之、川名裕己、幡野敦、松本雅記、青木淳賢、三浦進司:「アシル基転移酵素LPLAT7を介した腸管上皮細胞のアシル基リモデリングと腸管上皮機能への影響」、第82回日本栄養・食糧学会中部支部大会、2023年11月11日(愛知県名古屋市)
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