2023 Fiscal Year Research-status Report
悪玉とされてきたミリスチン酸による生活習慣病・筋力低下・認知症予防とその特異機構
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22K19747
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
坂根 郁夫 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (10183815)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ミリスチン酸 / ジアシルグリセロールキナーゼ / 骨格筋 / 脳 / 認知症 / 生活習慣病 / 肥満 |
Outline of Annual Research Achievements |
最近,大変興味あることに,ミリスチン酸(MA)によってジアシルグリセロールキナーゼ(DGK)のδアイソザイムの量が増加し,そのことによって2型糖尿病,肥満/生活習慣病,骨格筋減少,鬱/認知症を防ぐことができる可能性が出てきた.MA はこれまで殆ど注目されず,他の飽和脂肪酸と一緒くたにされ体に良くない悪玉脂質というのが定説であったが,実はMAは特別であり上記の様に善玉効果を持つことを我々は示した.そこで,今年度は,MA摂取を強力な科学的根拠に基づく,上記 4つの疾病・変化に対する画期的総合的リスク低減法とするための基礎的データを得ることを試み,以下の結果が得られ,また,準備が進んだ. 1.マウスへのMAを投与を行った所,脳のDGKδ量には変化がなかった.一方,大変興味あることに,胸腺中のDGKζ(免疫抑制因子の一つ)の量が低下し,インターロイキン-2の量が増加しているというデータが得られた.2.SMS1がセラミド非依存的にDG(DGKの基質)を産生する新たなホスファチジルコリン(PC)-ホスホリパーゼC(PLC)/ホスファチジルエタノールアミン-PLCであることを明らかにした(論文発表済).3.DGKδの骨格筋特異的ノックアウトマウスを作製して,その表現型を解析した(論文投稿準備中).4.DGKδが産生するジオレオイル-ホスファチジン酸が選択的に糖代謝酵素phosphoglycerate mutase 1と結合することが明らかになった(論文投稿準備中).5.SMS2がセラミド非依存的にDGを産生する新たなPC-PLCであることを明らかにした(論文投稿準備中).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要で述べたように,研究目的・計画に即して研究を行い,多くの項目において進捗が見られた.また,研究項目に関して,既に複数は論文を発表済みであり,また,幾つかは論文投稿中あるいは論文投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後も,研究目的・計画に即して研究を行う.また,進捗のあった項目については更に前に進める.
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Causes of Carryover |
令和4年度に新型コロナウイルス感染症の影響等により,当初の想定に反し,研究協力者である留学生の来日が遅れ,予備実験を開始できなくなった.そのため,令和5年度の一部の研究計画が後ろ倒しになってしまった.次年度に研究を加速させ,遅れを挽回する予定である.
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