2023 Fiscal Year Research-status Report
疑似感覚プロジェクションマッピングを応用した嚥下食起因食欲減退の改善システム開発
Project/Area Number |
22K19760
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
海老原 覚 東北大学, 医学系研究科, 教授 (90323013)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 味覚想起 / 思い出の味 |
Outline of Annual Research Achievements |
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、連日のゼリー・ミキサー食・とろみ水などの嚥下食による食欲減退は治療上の大きな障壁である。この嚥下食に起因する食欲減退を防ぐことを本研究の目的とする。嚥下調整食誘発性食欲減退は大きく、形態変化による「見た目」と「食感」に起因する。そこで本研究では疑似感覚を惹起する食事のプロジェクションマッピングシステムならびに味覚想起システムを開発し、「見た目」と「食感」及び「食の記憶」を再生した嚥下食を提供することにより、嚥下障害患者の食欲改善・栄養改善する方法を確立する。プロジェクションマッピングは食事時の嚥下食の入った食器とスプーンを別々にtrackingし、その動きに合わせて料理を仮想現実投影するシステムを開発する。各種パラメータを操作し、プロジェクターにより投影する食事またはとろみ水と食器またはスプーンとに適切な、疑似触覚を惹起する時相差を探索し、主食・副食にあたるゼリー食やミキサー食はスプーン挿入より少し遅らせて形態が崩れるようにし、硬めの食感惹起を試みている。さらに水分においてはとろみの粘度増が水分摂取の妨げになり、脱水を招く結果となるので、流体の移動を実際より早めに投影し、さらさらした食感惹起を試みている。開発すすめるも、陰影の問題や食事が熱せられるなどの問題が生じこれらを克服するのには時間がかかることより、他の方法も同時並行として行うこととした。そこで、嚥下食による食欲減退を防ぐ方法として①プロジェクションマッピングによる方法、②ミキサー処理する前の食事を視覚的に別空間にて認識させる方法、③好きな食事の味覚の記憶を想起させる方法、の3点からのアプローチで進めていったところ、①は技術的問題で進行が緩徐であるが、②、③は非常にすすんでいる。さらに食欲減退予防におけるメンソールなどの香辛料の役割も、その機序とともに研究し大きな成果を得ている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、連日のゼリー・ミキサー食・とろみ水などの嚥下食による食欲減退を防ぐ方法として①プロジェクションマッピングによる方法、②ミキサー処理する前の食事を視覚的に別空間にて認識させる方法、③好きな食事の味覚の記憶を想起させる方法、の3点からのアプローチで進めていったところ、①は技術的問題で進行が緩徐であるが、②、③は非常にすすんでいる。嚥下回診において②、③の効果は非常に著名に出ており、施設入所高齢者の食事摂取量回復に大きく役に立つことがわかった。さらに味覚想起訓練により、味覚が非常に細かい部分まで改善することを臨床研究により明らかにし、現在論文執筆中である。さらに食欲減退予防における香辛料の役割も、その機序とともに研究し大きな成果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
摂食嚥下リハビリテーションにおいて、連日のゼリー・ミキサー食・とろみ水などの嚥下食による食欲減退は治療上の大きな障壁である。この嚥下食に起因する食欲減退を防ぐ方法として①プロジェクションマッピングによる方法、②ミキサー処理する前の食事を視覚的に別空間にて認識させる方法、③好きな食事の味覚の記憶を想起させる方法、の3点からのアプローチを試みる方策で行く。高齢者の食欲減退改善策としてこれらの方向性が正しいことは日常臨床で実感しており、これらを客観的なエビデンスとして証明してくことを今後の推進方策とする。
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Causes of Carryover |
疑似感覚プロジェクションマッピング作製研究はその構造障壁があり構造変化に時間がかかり、次年度に製作費が持ち越されている。
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