2022 Fiscal Year Research-status Report
Developing use cases and quantifying resource requirements for Quantum Internet applications
Project/Area Number |
22K19781
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 貴彦 慶應義塾大学, 理工学研究科(矢上), 特任講師 (30831599)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
Keywords | 量子インターネット / 量子アルゴリズム / 量子エラー軽減手法 |
Outline of Annual Research Achievements |
量子インターネットアプリケーションのユースケース開拓と、その運用に要求されるネットワークリソースの定量化に向け、今年度はユースケースのモデル選定およびリソース定量化のモデル構築と、端末ノードの性能向上に必要な手法の整備を行った。 ユースケースのモデル選定では、量子インターネット上で実行されるアルゴリズムについて高速性や秘匿性、同一アルゴリズムへの参加が可能なユーザ数などの特性に基づいた整理と具体的なユースケース例の構築を行った。 また、リソース定量化に向けた提案として、量子人工生命のライフゲームと量子インターネット上でのアルゴリズム実行という異なるモデルを統合的に議論できる環境を整備した。これにより、性質やユースケースの異なるさまざまなアプリケーションがライフゲームモデルで比較可能となり、また、ライフゲームモデルで表現可能ではあるが該当するユースケースが知られてない系から新たな発想のユースケースを創出されていくことなどが期待される。 量子インターネットの端末ノードにおいてアプリケーションを実行する際に、該当するノードが現行モデルに近い世代の量子プロセッサであれば、恒常的なエラー訂正能力をもたないいわゆるNISQデバイスであることが想定される。そこで、運用可能なアプリケーションの性能向上のため、NISQデバイスのノイズ抑制によるエラー軽減手法の提案を行った。エラー軽減手法として量子部分空間拡大法(GSE法)を元に超伝導デバイスへの親和性の高い新提案を行い、量子デバイスのノイズパラメータを反映した数値シミュレーションと実機実験を通じて妥当性を実証した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者は開始時点では想定していなかった異動と研究室立ち上げ業務により研究環境・体制の変化があった。このため、量子インターネットの端末ノードが持つ量子コンピュータでの実行を前提とした新規アルゴリズムの開発に関しては予定よりも遅延が発生している。 一方で、予定していなかった人材の確保もあり量子人工生命モデルの採用と開拓など、量子インターネット上での運用されるアルゴリズムの整備とユースケースに関しては当初の予定以上の進展があった。 また、端末ノードの実行的な性能向上を可能とするエラー軽減手法の開発により、ネットワーク全体の処理能力の向上と運用可能なアルゴリズムの規模拡大が見込まれることとなった。 各項目の状況を総合的に俯瞰するとおおむね順調に進展していると判断される。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度に遅れが見られた量子コンピュータでの実行を前提とした新規アルゴリズムの開発を、同年度に構築した量子インターネット・アプリケーションの運用モデルに沿う形で推進していくことが2023年度の重要課題の一つとなる。 2023年度には研究代表者の研究室立ち上げに伴い、複数の新たな学生たちと共同研究可能な体制が発足する。この体制を利用し、先に挙げた課題の細分化とともに各々の特性や新鮮な発想を利用した研究推進に取り組んでいく。 また、2022年度に提案した量子人工生命モデルは、近年大きな変化のなかった領域であるが量子インターネットと組み合わせることで、従来環境では発想が難しかったさまざまな新成果を生み出すことが期待される。重要課題の一つとして2023年度も引き続き推進していく予定である。
|
Causes of Carryover |
研究体制の大きな変化に伴い予定していた計算機購入を取りやめたこと、コロナ禍による学会参加・出張を大幅に取りやめたことにより次年度使用が生じた。未使用額は予定していた計算機の購入及び研究人員の増加に伴う人件費、2022年度に準備が進んだテーマの対外発表のための旅費に充当する予定である。
|