2023 Fiscal Year Research-status Report
「フィールドで持ち歩く実験室」:MEMSで創り出す最小の生態学実験室
Project/Area Number |
22K19797
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 昌也 九州大学, 共創学部, 准教授 (10418519)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐々 文洋 九州大学, システム情報科学研究院, 准教授 (30722681)
中井 亮佑 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (90637802)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 科学者育成教育 / ラーニングアナリティクス / BioMEMS / 知能拡張技術 / 実世界学習 / 微生物生態学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,科学者育成という新しい教育目標を取り込んだ新GIGAスクール実現の礎を創ることを目的とする.このために,本研究は,MEMS (Micro Electro Mechanical Systems)技術によって「最小の生態学実験室」を創り出し,これを学習者がフィールドで持ち歩き,学習するための知能拡張技術を開発することとしている. この目的を達成するために,本研究はソフトウェア開発およびハードウェア開発の両面から取り組んでおり,今年度,以下の研究を行った. (1)初年度に試作したBioMEMSデバイスに関して,九州大学において改良を行い,これを国立研究開発法人 産業技術総合研究所 北海道センターにおける統制環境によって評価した.具体的には,BioMEMSデバイスの挙動・ハードウェア性能の評価,加えて,デバイスの操作に関わる人間工学的評価(ヒューマンインタフェース,操作性,手技など)を行った.その結果,改良型BioMEMSが,設計目標である性能(ハードウェア的性能,および,人間工学的性能)を概ね有していることを確かめた. (2)「フィールドで持ち歩く実験室」をソフトウェア的に制御する基盤となる,実世界学習を対象としたラーニングアナリティクス技術(自動学習評価技術)を開発した.具体的には,実世界における連続的な経験生成の基盤として,学習者内部に信念システムを仮定し,これを計算論的にモデリングすることで,フィールドでの知能拡張技術を駆動させるラーニングアナリティクス・コンポーネントの設計に関する知見を,定性的に得た.加えて,次世代ラーニングアナリティクスの開発・評価・実践に関する世界的な研究動向について包括的調査を行い,フィールドでの知能拡張技術を駆動させるコンポーネントの開発を加速するための基礎的知見を得た.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「フィールドで持ち歩く実験室」(MEMSで創り出す最小の生態学実験室)の実現のために,ソフトウェアおよびハードウェアの両面から研究・開発に取り組んだ.ソフトウェア開発の観点からは,国際会議において査読付論文1本の採録,ハードウェア開発の観点からは設計の改良と性能テスト(ハードウェア的視点,人間工学的視点)を行えたため,本研究は「おおむね順調に進展している」と考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
「フィールドで持ち歩く実験室」(MEMSで創り出す最小の生態学実験室)の実現のために,以下の研究を推進する. (1) ソフトウェアの観点から,実世界学習を対象としたラーニングアナリティクス技術の高度化を行う. (2) ハードウェアの観点から,BioMEMSの設計と実装を改良し,実世界環境への適用可能性を高める. (3) (1)(2)の技術を融合した知能拡張技術を完成させる.
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Causes of Carryover |
当初,2023年度に,実世界環境でBioMEMSを評価する予定であり,これに伴われる費用を見込んでいた.しかし,実世界環境での実験を成功させるためには,先んじて,理想的な統制環境で,厳密にBioMEMSの機能評価を行うことが極めて重要と考え,理想環境での実験を優先的に行うこととした.その結果,実世界環境での実験に要される費用から,理想的統制環境での実験に要される費用を差し引きした額が,次年度使用額として生じた.これについては,次年度,実世界環境での実験の実施によって,本研究の加速のために速やか,かつ,適切に予算を執行するため,研究計画全体には影響はない.
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