2023 Fiscal Year Research-status Report
観測・歴史時代の宇宙線・大気環境を探るアイスコアの超高解像度ベリリウム10分析
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22K19839
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
堀内 一穂 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (00344614)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 宇宙線生成核種 / ベリリウム10 / 太陽活動 / 宇宙線イベント / アイスコア / 季節変動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、グリーンランドSE-Dome IIアイスコアより、1960年から1999年の試料を切り分けた。切り分けは、コアの保管状況と年代モデルを丁寧に確認しながら、約1ヶ月の解像度が実現できるようになされた。切り分け後の試料は、弘前大学の実験室にて前処理が施され、東京大学総合研究博物館の5MVタンデム加速器を用いた宇宙線生成核種ベリリウム10の加速器質量分析に、順次供されている。 昨年度までに得られた、2000年から2020年の超高解像度ベリリウム10記録に関して、本年度は解析と研究が進んだ。この期間のベリリウム10濃度は、5月から7月を濃度増大のピークとした明瞭な季節変動を繰り返した。また濃度の三年移動平均値は、太陽活動の11年周期(シュワーベ周期)に支配された宇宙線強度変動の観測値と高い正の相関を示した。さらに、日本の大気ベリリウム10濃度の連続観測データと比較すると、宇宙強度線変動の観測値との食い違いが大きい年は両者で一致しており、これと成層圏のイベントとの相関性も認められた。こうした成果は、グリーンランドアイスコアの研究集会をはじめとして、国内外の学会やシンポジウムにて発表された。また、全ての解釈の基本となるSE-Dome IIアイスコアの詳細年代モデルを、国際誌にて公表した。 以上の成果に加えて、昨年度から本年度かけて、1940年代と1950年代のベリリウム10分析が完了した。このことにより、この時代に頻発した太陽面爆発起源の宇宙線イベント(巨大GLE)との関係を考察できるようになった。さらに、試料前処理時に保管された塩素分画より、核時代以前(1940年代)の塩素36を測定する準備が整えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究は概ね順調に進行しているが、本年度に分析を予定していた区間のベリリウム10分析が、加速器質量分析計の不調とマシンタイムの逼迫により完了できなかった。その結果、ベリリウム10変動の考察にも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
計画の遂行に大きな問題は生じていないことから、当初の計画通り課題を推進する予定である。
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Causes of Carryover |
加速器質量分析計の不調とマシンタイムの逼迫に伴って、試料処理と分析をはじめとした研究全般に若干の遅れが生じている。これが解消され次第、予定通り分析を進めることになるため、翌年度分の助成金と合わせて、当初の計画に沿って使用される予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] SE‐Dome II Ice Core Dating With Half‐Year Precision: Increasing Melting Events From 1799 to 2020 in Southeastern Greenland2023
Author(s)
Kaoru Kawakami, Yoshinori Iizuka, Mahiro Sasage, Mai Matsumoto, Takeshi Saito, Akira Hori, Sakiko Ishino, Shuji Fujita, Koji Fujita, Keita Takasugi, Takumi Hatakeyama, Saaya Hamamoto, Akihisa Watari, Nao Esashi, Miu Otsuka, Ryu Uemura, Kazuho Horiuchi et al.
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Journal Title
Journal of Geophysical Research: Atmospheres
Volume: 128
Pages: e2023JD038874
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Presentation] A quasi-monthly 10Be record of the early 21st century obtained from the Greenland SE-Dome II ice core2023
Author(s)
Riko Yagihashi, Kazuho Horiuchi, Kohsei Yoshioka, Yoshinori Iizuka, Sumito Matoba, Kaoru Kawakami, Sakiko Ishino, Mahiro Sasage, Mai Matsumoto, Saaya Hamamoto, Ryu Uemura, Takeyasu Yamagata, and Hiroyuki Matsuzaki
Organizer
The 9th East Asia Accelerator Mass Spectromentry Symposium (EAAMS-9)
Int'l Joint Research
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[Presentation] A quasi-monthly 10Be record from 2000-2020 CE obtained from the Greenland SE-Dome ice core II2023
Author(s)
Riko Yagihashi, Kazuho Horiuchi, Kohsei Yoshioka, Iizuka Yoshinori, Sumito Matoba, Kaoru Kawakami, Sakiko Ishino, Mahiro Sasage, Mai Matsumoto, Takeyasu Yamagata, and Hiroyuki Matsuzaki
Organizer
Japan Geoscience Union Meeting 2023
Int'l Joint Research
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