2022 Fiscal Year Research-status Report
Development and evaluation of a highly efficient carbon dioxide absorption and desorption system using pure liquid amine
Project/Area Number |
22K19876
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
鹿又 宣弘 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (40221890)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 地球温暖化対策 / 二酸化炭素回収 / CCS / ジエチレントリアミン / カルバミン酸 / 純液体吸収液 |
Outline of Annual Research Achievements |
地球温暖化対策の一つに二酸化炭素貯留回収技術 (CCS) があり、CO2の大規模回収に優れたアミン水溶液の開発が盛んに行われている。我々は主鎖の中央に2級アミン部位、両末端に3級アミン部位を有するジエチレントリアミン誘導体(DETAs)を純液体として用いることで、エネルギー効率の高いCO2回収系を構築できると考え研究に着手した。 市販原料より短工程で所望のDETAsを7種類合成した。これらのDETAsと参照物質であるモノエタノールアミン(MEA)、およびジエタノールアミン (DEA) に対してCO2吸収・放散性能評価を行った。CO2吸収測定は、アミン5 gに模擬排気ガス (CO2濃度 13% in N2) を流速100 mL/minで通気して行った。またCO2放散測定は、CO2吸収後のアミンを85 °Cで1時間攪拌する条件で行った。その結果、DETAsのモル当たりでのCO2吸収量はMEAに対しては最大でも1.06倍と微増であったが、DEAに対しては最大で1.5倍に達することを見出した。特に、両端に鎖状の3級アミン部位を有するDETAsは、3級アミン部位に置換するアルキル基が短いものほど吸収・放散の両面に優れた性能を示すことが示された。また、IRおよびNMR測定結果から、CO2吸収後にカルバミン酸が生じていることを明らかとした。さらに、実用性の上で重要なCO2放散率を測定したところ、参照物質である純液体のMEA、DEAはそれぞれ0.4%、2.2%とほとんどCO2を放散しなかったのに対し、DETAsはいずれも80%以上の高い放散率を示し、繰り返し試験にも再現性の高い吸収放散性を示した。中でも末端3級アミン部位にエチル基を有するDETAの場合は放散率が100%に達したことから、吸収したCO2をすべて放散する高効率なアミン液の開発に成功したといえる。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本反応の生成種を解明するため末端3級アミン部位にエチル基を有するDETAに対して、CO2吸収前後のFTIRを無溶媒で測定した。CO2吸収後のスペクトルでは、1575 cm-1付近に見られるカルバメートイオンのCO2-の逆対称伸縮のバンドは観測されず、カルバミン酸由来のC=O伸縮のバンドである1682 cm-1が観測された。このことから、この純液体アミンはCO2と反応してカルバミン酸を生成することが明らかとなり、このことが高い放散率を示す要因であることが示唆された。本研究において、初年度に吸収したCO2がどのような化学種としてDETAsに捉えられているのかを明らかにすることができ、今後の分子設計に重要な指針を与えるに至ったことは特質すべき進捗である。
|
Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度の成果を受けてDETAsよりも2級アミン部位を構成する窒素原子数が1つ多い、トリエチレンテトラアミンの合成とCO2吸収放散性能について研究を進める。また、これらのアミンに対してCO2を吸収した状態での化学種を解明し、CO2吸収放散性能により優れたアミン吸収液の開発を目指す。
|
Causes of Carryover |
研究が当初予定したよりも速く進み、化合物合成に使用する経費に若干ではあるものの余剰金(未使用額)が発生した。これらの余剰金は次年度の化合物合成の経費として、本年度に引き続き適切に使用する予定である。
|