2023 Fiscal Year Research-status Report
地球環境における複数問題複数スケールの同時解決の基盤となるモデリング手法の開発
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22K19880
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Research Institution | Research Institute for Humanity and Nature |
Principal Investigator |
石井 励一郎 総合地球環境学研究所, 研究基盤国際センター, 准教授 (40390710)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | トランススケール / 数理モデル / 生態系機能 / GHG排出 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は主に本研究の骨格となるモデルの基本構造を、国・地域スケールとグローバルスケールで構築し、それぞれで特異的に扱えるパラメーターと相互作用を抽出しながら、両スケールの間で整合性をとるという作業をおこない、本研究の基本アイデアを関連する国際学会で発表し、世界の研究事例の情報収集および参加者との意見交換をおこなった。前年度に収集・整理した国地域ごとのエネルギー、水、食料の消費量と、グローバルの大気循環へのGHG排出に加え、地域への閉鎖的な負荷となる窒素の排出、生態系への影響をそれぞれ地域のサブモデルとして構築したうえで、これらを連結したグローバルのモデルとして繋いだ。ここでは、国・地域内の短時間でのフィードバック系と、大気・海洋を介した長時間のフィードバック系を繋ぐとともに、後者の負の外部性に起因するグローバルな排出コモンズの問題と前者の地域の生産消費活動の間の要因連関を定式化するとともに、排出コモンズの問題の制御を国・地域の関数から基底、制御する可能性が見えてきた。 本研究の基本アイデアに関連する国際学会での発表と情報交換:ドイツで開催された学会 ”ECEM2023 ”(2023年9月)において、本研究の基本アイデア、モデル構造とその背景となる問題について整理し発表し、参加の関連分野の研究者から多くのコメントと関連する研究動向についての情報を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年後半、研究代表者とその家族に健康上の問題が生じたため、2023年度の研究に当てられる時間が制限された。モデル自体の開発が当初の計画より少し遅れているが、状況は改善しつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に整理した長期間で地域間の定量的な比較が可能なデータと定性的な整合性を維持しながら、本計画の核心となる複数スケールのモデルを連結する作業部分には時間をかけることとなったが、当初想定していなかったグローバル・コモンズの問題に対する説明可能性を見出すことができたため、その文脈での本研究の複数スケールモデルの有効性についても合わせて検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画の進捗に少し遅れが生じ、作業内容を変更することで当初予定していた国際学会への参加が日程の関係で減じることとなり、旅費の支出の必要が減じたが、次年度にその機会を持ち越すこととした。
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