2022 Fiscal Year Research-status Report
Separation of impurities by electrochemical reaction: Toward versatile recycling of waste glass materials
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22K19881
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Research Institution | Hokkaido Research Organization |
Principal Investigator |
明本 靖広 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究職員 (20825955)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲野 浩行 地方独立行政法人北海道立総合研究機構, 産業技術環境研究本部 エネルギー・環境・地質研究所, 研究主幹 (00469694)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | ガラス廃材 / 酸化還元 / 溶融塩 / 不純物分離 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、様々なガラス廃材のリサイクルを促進するために、着色成分である金属や溶融リサイクルにおいて障害となる可能性のある不純物を、電気化学反応を利用して取り除くことを目指している。 予備試験では、セラミック管に発熱体として白金線を巻いた簡易的な電気炉内に、酸化銅を含む青色のガラス試料を充填した燃焼ボートを入れ、この燃焼ボートの両端に白金線を電極として挿しこむことで、ガラス試料に電位を印加しながらセラミック管を約1000℃まで昇温させて試験を行った。陽極付近で青味が薄くなったが、成分分析等が難しい試料量であるため、るつぼでの同試験が可能な実験環境整備の必要がわかった。 今年度は1000℃以上に高温状態を維持しつつ、ガラス試料に電位を印加することのできる電気炉の製作に取り組んだ。このような装置は市販されていないため、耐火レンガやセラミックボード、発熱体などを組み合わせて自作した。炉内温度を計測するための電熱線を炉内に配置し、データロガーで計測しながら一定の速度での昇温、および維持が可能なシステムを作った。電気炉上部はセラミックボードで作製し、アルミナ絶縁管を通すことで電極となる白金線の通路を設けた。作製した電気炉は1300℃まで昇温可能であると同時に、ガラス試料にも電位を印加して通電を確認した。予備試験で用いたガラス試料と同じ酸化銅を含む青色のガラス試料を対象に試験を行った。試料量が多くなったことで脱色の状況までは目視で確認できなかったが、陰極近傍では褐色の沈殿が生成しており、銅イオンが陰極で還元されて金属銅になったと考えられる。 今年度溶融状態で電位を印加可能な電気炉が完成したため、次年度以降は電位の印加前後におけるガラス試料の元素分析や金属の化学形態といったより詳細な分析・評価を進めていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の主な項目としていた高温溶融状態でガラス廃材に電位を印加することが可能な電気炉の作製に関しては、概ね完了した。今後は実際に電位の印加試験を行いながら、適宜安全性や作業性を勘案しながら微調整をしていく予定である。予備試験等で得られた着色ガラスからの重金属の分離について、土壌修復で用いられる電気泳動現象の今後の研究展開の一部として、化学工学会(全国若手の会)にて講演を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度作製した電気炉を用いて、酸化銅によって青色に着色したガラス試料を対象に銅イオンの挙動に与える電圧や印加時間の影響を検証する。また、現状では放冷時に電極がそのままガラス中に残ってしまうため、ガラスが融けた状態で引き抜く必要がある。その引き抜き機構と温度条件に関して検証を行う。
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Causes of Carryover |
学会の開催方法がオンラインであったため、旅費について残額が生じた。次年度以降のガラスの組成分析に必要な資材調達などに活用していく予定である。また、使用予定だった直流電源装置の納期が半導体不足などの影響により年度内での納品が困難であったため、当該分の予算を繰り越して次年度に購入する予定である。
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