2022 Fiscal Year Research-status Report
生体高分子送達のための細胞内バリア突破型レクチンの開発
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22K19906
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
佐野 将之 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (80415687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舘野 浩章 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究グループ長 (30450670)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | レクチン / 生体高分子 / 核酸 / トランスフェクション |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞のマニュピレーションおよび疾患の治療を目的とした核酸などの生体高分子デリバリー技術は、現代の生物・医学研究において必須のものとなっている。また多くの疾患治療においては、特異性の低いキャリアを用いたdrug delivery system (DDS)は副作用を誘起する原因となるため、いかに標的細胞への特異性を高めるかが安全性の高い治療を達成するうえで重要になる。糖鎖結合タンパク質(レクチン)は、特定の糖鎖を認識して結合するタンパク質であり、その機能は細胞接着、シグナル伝達、免疫反応の獲得など多岐にわたっている。これまでに我々は細胞種特異的に結合するレクチンを確かめており、本研究では、レクチンを用い、核酸などの生体高分子を特定の細胞に導入するための技術の構築を目的としている。本年度は、レクチンに核酸を結合させるため、いくつかの核酸結合配列をレクチンに付加した組換えタンパク質を作製し、electrophoretic mobility shift assay (EMSA)により核酸との結合を検証した。緩衝液や反応時間の検討も合わせて行い、その結果、核酸に効率よく結合する組換えレクチンおよびその反応条件を得ることができた。また、蛍光標識したレクチンを用いて、細胞表面への結合についても検証を行った。さらに、核酸結合配列を付加したレクチンと核酸との複合体を形成させ、培養細胞への導入実験を行った。核酸とレクチンの反応量比や細胞への処理時間、培養条件などの検討を行うことで、核酸の導入に必要な因子について多くの知見を得ることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、EMSAを用い、核酸結合配列の違いにより、レクチンと核酸の結合効率に違いがあることを確かめた。また、レクチンと核酸の結合条件についても検討ができた。さらに、レクチンによる培養細胞への核酸導入について、多くの条件検討を行った。その結果、導入に影響を与える要因や因子について基礎データを得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度はレクチンを用いて細胞に効率よく生体高分子を導入するための条件検討をさらに進めていく。また、エンドソーム捕獲などの細胞内障壁を克服するための組換えレクチンの検討および構築を行い、培養細胞を用いてその効果を検証していく。
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Causes of Carryover |
今年度の研究進捗状況に合わせて、一部を次年度に使用することとした。次年度は、主に研究計画を遂行するために必要な研究試薬、消耗品の購入費用に充てる。
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