2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of Janus-shaped gold nanoparticles for cancer treatment using highly biopermeable near-infrared light
Project/Area Number |
22K19908
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
居城 邦治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (90221762)
|
Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
Keywords | 金ナノ粒子 / ヤヌス型ナノ粒子 / 自己集合 / 光免疫療法 / 近赤外 / 光熱変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では研究代表者がこれまで開発してきた2つの技術、即ち(1)温度応答性リガンドで修飾した金ナノ粒子の集合化手法と、(2)金ナノ粒子表面の上半分と下半分をそれぞれ親水性/疎水性リガンドで被覆するヤヌス型粒子の作製手法を組合わせ、近赤外(NIR)光で活性化して細胞膜を破壊する金ナノ粒子の創製を目的とした。具体的には、細胞膜表面に吸着し留まりやすい形状の円盤状金ナノ粒子(金ナノディスク)の片面を親水性リガンドで、残りの面を温度応答性リガンドで被覆したヤヌス型金ナノディスクを調製し、NIR光を照射すると光熱変換により温度応答性リガンドが疎水性へと変化するシステムを開発する。この機構により界面活性効果が発揮され、細胞膜が破壊されると期待できる。 R5年度はまず、昨年度に作製した加温で疎水性を発現する金ナノディスクを用いて、生理条件下でガン細胞に対する膜破壊能の評価を試みた。しかし、DMEM培地中で金ナノディスクをHeLa細胞に添加すると、金ナノディスクの凝集が起こり、正確な細胞膜破壊能の評価は困難であった。そこで、粒子形状をロッド状金ナノ粒子(金ナノロッド)に変更し、疎水性リガンドとカチオン性リガンドを適切な比率で混合し修飾することで、培地中でも安定かつ温度応答性を示す金ナノロッドを得ることができた。この金ナノロッドをDMEM培地中でHeLa細胞とインキュベートし、NIR光を照射した際の細胞膜破壊効果を評価した。CCK-8アッセイによる細胞毒性を評価した結果、NIR光の照射で細胞の生存率が顕著に低下した(照射無し:76%→照射有り:36%)。この結果から、金ナノ粒子の光熱変換能により、生体透過性が高いNIR光でガン細胞の死滅を誘起できることが分かり、新たな光免疫療法への応用展開が期待できる。本成果を基に、今後は本システムの詳細な作用機序を解明し、in vivoでの応用実験を検討してゆく。
|