2022 Fiscal Year Research-status Report
二重標的Nose-to-Brainミセルによる脳感染神経特異的RNA送達への挑戦
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22K19921
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
金沢 貴憲 静岡県立大学, 薬学部, 准教授 (60434015)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮田 完二郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (50436523)
中南 秀将 東京薬科大学, 薬学部, 教授 (20548515)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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Keywords | Nose-to-Brain / RNA送達 / ナノ粒子 / 嗅球 / 脳幹 |
Outline of Annual Research Achievements |
はじめに、本研究で標的とする嗅球・脳幹部への送達に適したナノ粒子(Nose-to-Brain送達型ポリマー/ペプチド共集合化ミセル)の物性を明らかとするため、様々な物性のナノ粒子の組成・調製条件を検討した。分子量の異なるPEG-PCLブロックコポリマーとペプチドを様々な組成比で共集合化させたナノ粒子をマイクロ流体デバイス法(MF)により調製し、物性を評価した。結果より、共集合化ナノ粒子は, ポリマー/ペプチド組成比およびMF条件である流速比が粒子径とその多分散指数(PDI)に影響を及ぼすことが示された。一方、ゼータ電位はいずれの分子量のブロックポリマーにおいても、MF条件よりもポリマー/ペプチド組成比が影響を及ぼすことを明らかとした。次に、粒子径およびゼータ電位の異なる数種類の共集合化ナノ粒子にMalat1標的siRNAを搭載し、マウスへ経鼻投与した際の脳内Malat1遺伝子発現解析を行った。その結果、わずかな正電荷を示す50 nm以下の共集合化ナノ粒子が、嗅球・脳幹部を中心に脳内全体でMalat1発現を抑制することを見出した。さらに、本研究課題ではナノ粒子表面への抗体リガンド修飾をクリック反応を用いて行うため、その予備検討として、アジド化PEG-PCLブロックポリマーを用いた共集合化ナノ粒子の調製を試み、物性を評価した。その結果、アジド化により共集合化ナノ粒子の物性は変化しないことを確認した。以上、本年度の検討により、嗅球・脳幹部を中心に脳内全体で標的遺伝子発現効果を示すナノ粒子の物性・組成とその調製条件を明らかとした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の中核を担う、経鼻投与により標的部位である嗅球・脳幹における高い標的遺伝子発現抑制効果を示すナノ粒子の組成・調製条件を確立し、抗体リガンド修飾のために必要なナノ粒子のアジド化にも着手できたため。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、今年度確立した嗅球・脳幹部での高い遺伝子発現効果を示すナノ粒子の表面に2種類の抗体リガンドを修飾した二重標的化ナノ粒子を作製する。また、二重標的化ナノ粒子にSARS-Co-V2ウイルス標的核酸を搭載させた二重標的化ナノ粒子を作製し、感染ヒト神経細胞における細胞取込み、ウイルス増殖抑制率(生存率: MTT assay)を定量的に検証し、最大効果を示す二重標的化ナノ粒子を同定する。SARS-CoV-2 感染細胞を用いる実験は、P3 の高度病原体実験施設を有する東京薬科大学で行う。
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Causes of Carryover |
大学内の動物実験センターの改装に伴い、今年度予定していた動物実験の一部を次年度はじめに延期する必要があったため。それに伴い確保していた動物購入費を次年度に使用することとした。
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Research Products
(12 results)