2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K19946
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Research Institution | Kindai University |
Principal Investigator |
西山 雅祥 近畿大学, 理工学部, 准教授 (10346075)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
早坂 晴子 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70379246)
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Project Period (FY) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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Keywords | 麻酔薬 / 圧拮抗作用 / 高圧力顕微鏡 / おたまじゃくし |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、世界中の病院で使われている麻酔薬。実はその作用機序は明らかにされていない。ここでは、圧力変化が麻酔作用を変化させることに着目し、麻酔薬の圧拮抗作用を明らかにする研究に取り組む。令和5年度は、様々な生物種を用いて, 1) 減圧もしくは2) 加圧下における行動変化を調べる実験を行った。1) 減圧環境にある個体を観察し、個体の状態を比較するための実験系を構築した。透明のアクリル容器を2つ準備し、一方には真空ポンプによる気圧と内部温度を調整できるようにした。もう一方では、気圧を除く他の条件を揃えられるようにすることで、気圧変化に対する個体の応答を評価できるようにした。現在、複数の個体に同時に麻酔をかけた後、気圧を変えた2つの容器で麻酔の影響を評価中である。また、減圧顕微鏡を開発した。2) これまでの取り組みにより、わずかな加圧によりオタマジャクシの行動が変化することを明らかにできた。この圧力効果は高等生物特有のものかを検証するため、研究代表者がこれまで研究してきた大腸菌で検証実験を行った。大腸菌の細胞膜に周囲環境を知覚するレセプターがあり、忌避物質が結合すると大腸菌の走性が変化する。高濃度の忌避物質を含んだ水溶液で大腸菌を希釈し、高圧力顕微鏡下で細胞運動の変化を観察した。その結果、わずかな圧力変化により大腸菌の走性が大きく変わることが明らかになった。これは、細胞膜のレセプターと忌避物質の結合定数が変化するのが原因であると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
加圧もしくは減圧環境にある個体を観察する装置は開発できた。
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Strategy for Future Research Activity |
開発した実験系を用いて、個体の行動を観察することで、麻酔薬の圧拮抗作用を調べて行く。
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Causes of Carryover |
圧力変化にともなう麻酔薬の影響を検証するため、観察する個体数を増やす必要がある。
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