2023 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀初頭におけるクロード・モネの公的評価の形成に関する研究
Project/Area Number |
22K19963
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
亀田 晃輔 神戸大学, 人文学研究科, 人文学研究科研究員 (60962991)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | クロード・モネ / フランス第三共和政 / 美術史 / ロジェ・マルクス / ギュスターヴ・ジェフロワ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、印象派の画家クロード・モネ(1840-1926)が、第三共和政期のフランスにおいて公的評価をいかに得たのかを明らかにすることである。 最終年度では、フランス国立公文書館と国立美術史研究所で資料調査を行った。リュクサンブール美術館の印象派などの作品買い上げに関する資料や、印象派の画家たちと美術批評家兼美術行政官のギュスターヴ・ジェフロワやロジェ・マルクスとの書簡を実見してきた。一方で、印象派作品が同時代に購入され美術館に収蔵された実例を見るために、ベルリンの旧国立美術館へ赴いた。こうした資料調査に基づき、口頭発表を行った。 ギュスターヴ・ジェフロワによる「印象派の歴史」執筆(1894年)、リュクサンブール美術館への印象派作品の収蔵(1897年)、1900年のパリ万国博覧会における「100年展」への印象派の出品という出来事を通じて、クロード・モネを対象としながら印象派の公的評価を考察した。結果として、100年展によってフランス国家が、ナショナリズムの気運が高まるなか、美術におけるフランス派を確立、提示し、そこに印象派を含めたことを明らかにできた。これをもってフランス公式の美術史に印象派が参入したのである。この研究を基盤として、20世紀初頭における印象派作品の国家買い上げについて、今後さらに調査し、明らかにしていきたい。 他方で、1890年代において印象派、新印象派、象徴主義の前衛美術が混淆して語られた状況を考察し、ジェフロワの「印象派の歴史」が執筆される当時の潮流を明らかにすることができた。
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