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2022 Fiscal Year Research-status Report

A Study of Whitehead's "Speculative Philosophy" : In Relation to 19th and 20th Centuries Philosophy of Science

Research Project

Project/Area Number 22K19977
Research InstitutionRitsumeikan University

Principal Investigator

有村 直輝  立命館大学, 文学部, 研究員 (50967114)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywordsアルフレッド・ノース・ホワイトヘッド / C. D. ブロード / 思弁哲学 / 科学哲学
Outline of Annual Research Achievements

2022年度は、20世紀前半の科学哲学、特にC. D. ブロードの哲学との関連からホワイトヘッドの「思弁哲学」の確立の過程を探った。まず、ブロードの『科学的思考』を読解し、そこでの問題意識や「思弁哲学」への評価を確認した。その結果、ブロードが「科学隆盛の時代において哲学の存在意義を示さなければならない」という危機意識を持っていたこと、そのうえで彼が哲学を、科学の基礎概念の分析を行う「批判哲学」と、宇宙論を構築する「思弁哲学」とに分け、前者こそがこれからの哲学が取り組むべき仕事であると主張していることが明らかになった。このことを踏まえ次にホワイトヘッドの講義録の読解を行い、彼のブロードに対する評価を確認した。科学に対する哲学の役割とは何かという問題を彼がブロードと共有しながらも、ホワイトヘッドはあえてブロードが否定的であった「思弁哲学」の立場を引き受けていること、「仮説」「新しい合理主義」「想像力」、ヘルンレの「総観的ヴィジョン」などの概念を用いて思弁哲学の再定義を行っていることを明らかにした。以上の研究成果については、関西哲学会第75回大会で「ホワイトヘッドの「思弁哲学」の形成について―C. D. ブロード批判の文脈から」という題目で発表した。

またこれに加えて、昨年のシンポジウムの内容をもとにした論文「T. P. ナンとホワイトヘッド」を投稿、『プロセス思想』22号に掲載された。本論文は20世紀初頭の哲学者ナンとホワイトヘッドとの接点が「われわれの日常的な経験世界と科学が扱う対象の世界との隔たりをどのように埋めるか」という共通の問題意識にあったことを指摘するものであり、ホワイトヘッドの「思弁哲学」の形成の背景を別の角度からも補強するものである。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2022年度は、20世紀初頭の科学哲学、特にC. D. ブロードの『科学的思考』がホワイトヘッドの思弁哲学の形成に与えた影響を検討することを目標としており、この目標はおおむね達成された。ホワイトヘッドがブロードの『科学的思考』の議論を踏まえたうえで、ブロードが否定的であった思弁哲学を擁護し、これに新たな特徴づけを与えようとしていることが明らかにできた。ただし、ホワイトヘッドの「思弁哲学」の性質をより明確にするためにも「仮説」や「新合理主義」「想像力」などの各概念について今後さらなる考察が必要であることも明らかになった。この課題については、次年度以降の課題になる。上記の事情から「おおむね順調に進展している」と判断した。

Strategy for Future Research Activity

2022年度は20世紀初頭の科学哲学との関連からホワイトヘッドの「思弁哲学」の形成過程を探ったが、2023年度はこの研究を続けつつ、19世紀の科学哲学の文献の読解にも着手する予定である。具体的には、ヒューエルやミルなどの19世紀イギリスの哲学の文献を読み、ホワイトヘッドの哲学との比較や影響関係の検討を行う。当初の計画では国内の学会のみでの研究成果の発表を検討していたが、ここ数年新型コロナウイルスの影響で延期されていた国際ホワイトヘッド学会の開催が決定し、ホワイトヘッドの哲学と科学の関係を扱うセッションが開催されることが発表されたため、国際学会への参加、発表を検討している。

Causes of Carryover

2022年度はホワイトヘッド関連文献および20世紀初頭の科学哲学の文献を中心に集め、19世紀の科学哲学の文献は次年度に購入することにしたため。また、昨年度開催が発表された国際ホワイトヘッド学会への参加、発表のために予算を回したいため。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] T. P. ナンとホワイトヘッド2022

    • Author(s)
      有村直輝
    • Journal Title

      『プロセス思想』

      Volume: 22 Pages: 5-19

    • DOI

      10.32242/processthought.22.0_5

  • [Presentation] ホワイトヘッドの「思弁哲学」の形成について―C. D. ブロード批判からの考察2022

    • Author(s)
      有村直輝
    • Organizer
      関西哲学会第75回大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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