2023 Fiscal Year Annual Research Report
Affective Polarization among the American Electorate
Project/Area Number |
22K20108
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
小椋 郁馬 茨城大学, 人文社会科学部, 講師 (40965612)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 感情的分極化 / アメリカ政治 / 世論 / サーベイ実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカで深刻化している有権者における感情的分極化の要因及びその帰結について、実証的に明らかにすることを目的としている。 感情的分極化の要因については、有権者が民主党・共和党支持者の社会経済的な属性や争点態度について持つイメージ (ステレオタイプ) に着目した研究を行ってきた。まず、ステレオタイプについて検討する前提として、民主党・共和党支持者が互いに異なる社会経済的属性を持つのか (social sortingと呼ぶ)、それはどのような有権者の間で顕著なのか、という点に関し、既存の世論調査データの二次分析を用いた研究を行った。その結果、social sortingは、特に党派的な争点態度を持つ有権者の間で生じていることが明らかになった。次に、民主党・共和党支持者の社会経済的な属性や争点態度に関するステレオタイプが感情的分極化に結びつくのかを厳密に検証するため、アメリカの有権者を対象としたサーベイ実験を実施した。その結果、特に民主党・共和党支持者の争点態度に関するステレオタイプを修正した場合、感情的分極化の程度が軽減されることが明らかになった。これらの分析結果から、アメリカの有権者における感情的分極化の主要な要因の一つとして、民主党・共和党支持者が互いに異なる争点態度を持っていること、そして人々がそうした認識 (ステレオタイプ) を有していること、があげられることがわかった。 次に、感情的分極化の帰結として、(i) 支持政党によって民主的なプロセスに対する態度が異なるか、また (ii) 政党支持を理由とする態度表明 (partisan expressive responding) がありうるかを検討した。2022年・23年に実施したオンラインサーベイ実験により、これらの点を支持する実証的な結果を得ることができた。
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