2023 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀後半日本における学生運動の盛衰のメカニズム:大学立地施策と学生街の変容から
Project/Area Number |
22K20195
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
小杉 亮子 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 准教授 (70785013)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 学生運動 / 大学立地施策 / 空間 / 社会運動 / 社会運動史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、1945年から1960年代に東京都心部の大学キャンパスを拠点とする学生運動が隆盛し、1970年代中盤以降に衰退したメカニズムを、高等教育政策や都市計画、産業振興政策が複合的に重なった領域としての大学立地施策に規定された学生街の変容に着目して明らかにすることにある。具体的な研究内容としては、神田・御茶ノ水地区(東京都文京区・千代田区)を対象に、同地区に所在した大学を拠点とする学生運動の隆盛を同地区での学生街の形成と解体という空間的要因によって説明するべく、1950年代から70年代に同地区の大学に通い学生運動に参加していた元学生への聞き取り調査を実施して、学生運動と学生街に関するデータを収集し分析するともに、文献調査およびGISを用いた分析から同地区の学生街としての変遷を明らかにする。 最終年度にあたる2023年度は、これまでの文献調査をもとに同地区での学生街形成・解体と学生運動の関係性について、第20回世界社会学会議(メルボルン)で報告し、参加者からフィードバックを得ることができた。また本研究を通じては、社会運動史研究の方法論についても知見を深めることができ、その成果は、第96回日本社会学会大会にて、社会学教育委員会企画テーマセッション「質的データのアーカイブ」のなかで報告するとともに、共編著『直接行動の想像力 社会運動史研究5』(新曜社、大野光明・小杉亮子・松井隆志編)として刊行した。 研究期間全体を通じては、神田・御茶ノ水地区での学生街形成・解体およびそれによる学生人口の流出入について、おもに文献調査をもとに、実態の把握を進めることができた。ただし、同地区で学生運動に従事していた元学生たちへの聞き取りを十分な人数に対して行うことができなかったため、学生街が形成から解体されるまでの推移と学生運動の盛衰を結びつけて総合的に分析する作業が今後の課題として残された。
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Research Products
(3 results)