2022 Fiscal Year Research-status Report
学習者の意味づけに着目した社会参画を促す社会科カリキュラムの開発
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22K20263
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
大山 正博 武庫川女子大学, 学校教育センター, 助教 (60964252)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 社会科・問題解決型学習 / カリキュラム / 参与観察 / 学習者による学びの意味づけ / 雰囲気 / 遊び |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、学習者の意味づけという観点から、社会参画を促す社会科・問題解決型学習のカリキュラムモデルを提示することである。その目的を達成するため本研究では、兵庫県内の高等学校と共同で年間カリキュラムを開発・実施し、そこで見られる生徒の意味づけを社会科学習以外の活動との関連も視野に入れ複合的に分析する。その上で、他校に波及できるカリキュラムモデルを提示する。 研究計画においては、生徒の意味づけに関する仮説の生成(1年目)、生成した仮説の検証を踏まえたカリキュラムモデルの提示(2年目)を設定した。研究計画の1年目にあたる当該年度では、参与観察を通じて以下の仮説が生成された。授業において「面白さを求める」という教師および生徒の全体的雰囲気が、社会科・問題解決型学習における「理解・認識」の枠を広げるとともに、個々の生徒による多様な意味づけを保障する(仮説1)。ここでいう「面白さを求める」とは、各授業で学ぶ事柄の枠内で極論を挙げたりしながら、議論を楽しもうとする雰囲気である。この雰囲気を、本研究では中田基昭(1993)を参照し「事柄の本質で遊ぶ」と表現する。さらに、生徒の意味づけは社会科・問題解決型学習に限定されるものではなく、他の様々な活動に活用可能なものである(仮説2)。研究開始当初は、授業における全体的雰囲気と個々の学習者による意味づけとの関連性については考慮していなかったため、この点が質的調査を通じた新たな発見といえる。 研究期間2年目は、生成された仮説を理論的に補強するための文献調査および研究期間1年目とは異なるクラスにおける参与観察を行う。以上を踏まえて、学習者の多様な意味づけを保障する「事柄の本質で遊ぶ」社会科・問題解決型学習のカリキュラムモデルを提示する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度に予定していた参与観察を通じた仮説の生成については、「研究実績の概要」で述べたとおり一定の成果があがっている。しかし、生成された仮説を理論的に補強するための文献調査は十分には進んでおらず、2年目の課題となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究を遂行するためにはさらなる文献調査および参与観察を通じた質的調査が不可欠である。併せて調査結果をまとめて、学会での発表や論文の執筆を行い、研究成果を公表していく。
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Causes of Carryover |
2022年度、全国社会科教育学会がオンデマンド開催となったため、残額が生じた。次年度に実施し、未使用額は2023年度日本教育学会で研究報告を行う際の経費に充てる。
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