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2022 Fiscal Year Research-status Report

人間の垂直知覚を形成する視覚情報の統合処理過程の解明

Research Project

Project/Area Number 22K20315
Research InstitutionKyoto University

Principal Investigator

藤本 花音  京都大学, 文学研究科, 助教 (40964218)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywords主観的垂直 / バーチャルリアリティ / 空間認識
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、風景に特有の視覚特徴がどのように垂直知覚を形成するかを明らかにすることであった。物の「傾き」の判断は、日常のあらゆる場面で必要とされる。傾きの判断には基準となる「垂直」の知覚が必要不可欠だが、人間の垂直知覚は視覚に影響されやすい。垂直知覚における視覚の役割は、実験統制の容易な幾何学枠を用いて研究されてきたが、幾何学図形から得た知見を日常の視覚に一般化できるかは不明であった。そこで本研究では、バーチャルリアリティを用いて実生活に近い視覚環境で風景を呈示し、垂直知覚への影響を検討した。ところで、日常視空間の傾きによる垂直知覚の変化は、視空間の回転周期成分の合成で表すことができる。その中の180°周期成分は、日常視空間における水平線の傾きを反映すると考えられているが、水平線が明示されない室内環境でも誘発され、どのような視覚要因が関与するか不明であった。本年度は、室内空間の「床面」が水平方向の手がかりとなり、180°周期成分を誘発するという仮説の下、「床面」の認識に重要であると考えられる、平面の奥行情報の影響を検討した。長方形の室内シーン、または同一のテクスチャ素材を用いた平面図形をバーチャルリアリティ空間にそれぞれ呈示し、視点のロール軸角度を操作した上で垂直を測定した。その結果、平面条件は室内条件に比べて180°周期成分が著しく小さく、平面の奥行情報の重要性が示された。この結果から、奥行きのある平面が「床面」あるいは「天井面」として認識され、水平方向の手がかりに使用される空間認識メカニズムが示唆される。幾何学錯視の枠組みで垂直知覚を検討した過去の研究に対し、本研究は生態学的妥当性に優れる日常風景に含まれる視覚特徴に着目することで、垂直知覚のメカニズムを日常の視知覚体験に適用可能にする点に意義がある。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

初年度では交付開始までの期間に予備実験による検討を重ねていたため、研究期間の開始と共に本実験を開始することができた。9月には予備実験の結果を、1月には本実験の結果の一部を学術大会で報告できたことから、本研究課題はおおむね順調に進展していると言える。一方で新型コロナウイルスの感染拡大により、依然として実験室における実験の実施には制限が加えられることとなった。次年度より研究機関における活動制限の大幅な緩和が見込まれることから、更なる研究活動の進展が期待される。

Strategy for Future Research Activity

次年度は、日常風景に含まれる物体の意味情報が垂直知覚に与える影響を検討する。風景のレイアウトに加え、垂直知覚の精度向上には個々の物体方向の参照が有効と考えられる。そこで、風景画像をモザイク化した視覚刺激を用いて垂直知覚への影響を測定し、元の風景画像を用いた場合と比較することで、垂直知覚における物体情報の影響を検討する。これらの研究から得た知見は国内外の学術大会で報告し、発表時の議論を踏まえた上で学術論文を執筆し、国際学術誌に投稿することを予定している。

Causes of Carryover

データ収集は順調に進んだが、結果の議論に時間がかかったため論文の投稿時期が遅れ、当初想定していた論文投稿費用や英文校正費用を当該年度に使用しなかった。残額については、次年度の論文投稿に充てることを予定している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2023 2022

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] 日本視覚学会 2022年夏季大会2023

    • Author(s)
      藤本花音、蘆田宏
    • Organizer
      日本視覚学会 2023年冬季大会
  • [Presentation] 視覚的な傾きによる主観的垂直の周期変化を形成する視覚要素の検討2022

    • Author(s)
      藤本花音、蘆田宏
    • Organizer
      日本視覚学会 2022年夏季大会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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