2022 Fiscal Year Research-status Report
ピーニング処理により閉口した疲労き裂の再開口挙動を再現する数値解析手法の構築
Project/Area Number |
22K20444
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
阪野 裕樹 岐阜大学, 工学部, 助教 (90966194)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ピーニング・HFMI処理 / 疲労き裂 / 閉口き裂の再閉口挙動 / 塑性流動 / 3次元き裂進展解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
鋼橋溶接継手に生じた疲労き裂は,車両通行により発生する繰り返し応力による進行し,急激に鋼橋の耐力を低下させる.この疲労き裂の進展を効率的かつ合理的に遅延するために,金属ピン・ハンマー打撃により鋼材表面に塑性流動を生じさせ,打撃部周辺に疲労に有利な圧縮残留応力を導入可能なピーニング・HFMI処理による表面き裂の閉口処理が開発されてきた.一方,閉口されたき裂の再開口挙動は,従来のき裂進展とは様相が異なる閉口部の連続的に開口する挙動を示す.このため,その挙動を従来のき裂進展解析,すなわち,線形破壊力学の枠組みにより再現可能であることが明確にできれば,非常に有効であると考えている. 本研究では,ピーニング・HFMI処理によりき裂面に導入される圧縮残留応力に加えて,塑性流動も考慮可能な3次元き裂進展解析手法を開発し,最深部から表面に至るまでの閉口部の再開口挙動の完全再現を目指すものである.ここでは,溶接部継手試験体の疲労試験により閉口した疲労き裂を再開口させ,閉口部の再開口進展挙動の詳細なフラクトグラフィーを行うとともに,その結果を基に,閉口部の再開口挙動を疲労き裂進展として取り扱う3次元き裂進展解析の妥当性を検証する. 初年度である令和4年度は,溶接継手試験体を用いた再開口挙動の再現性評価とき裂面に作用する塑性流動等の裏付けのための疲労試験が実施できていないことから,既往の研究成果からピーニング処理により閉口されたき裂の再開口後のき裂進展の様相を整理した. また,疲労試験に先立ち,き裂面に導入される残留応力の正確な推定のためのピーニング処理の数値シミュレーションを実施することとし,数値解析モデルの作成をしている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
当初計画では,令和4年度中において3次元き裂進展解析に塑性流動を加味したピーニング処理の数値解析を連動させた解析手法構築に向けて,再開口挙動の再現評価およびき裂面に作用する塑性流動の裏付けのための疲労試験を実施する予定であったが,疲労試験のための試験体製作に遅れが生じたため試験が実施できておらず,それに伴い,ピーニング処理の数値シミュレーションにも遅れが生じていることから,『遅れている』と評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の令和5年度は,当該年度で実施できなかった項目を含む以下の3つの項目を実施する. (1)再開口した閉口した疲労き裂破面の電子顕微鏡による詳細な観察 (2)き裂面に導入される残留応力の正確な推定のためのピーニング処理の数値シミュレーションの実施 (3)ピーニング処理によりき裂面に導入される圧縮残留応力および塑性流動をも考慮可能な3次元き裂進展解析手法の構築
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Causes of Carryover |
試験体製作およびピーニング処理の数値シミュレーションのためのライセンス購入費として計上していた予算が使用できなかったため.本年度は当該年度に実施できていない試験を含めて実施予定であるため,助成金の使用についても当初の計画に沿って進める予定である.
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