2023 Fiscal Year Annual Research Report
力学刺激に応答し体積相転移するソフトマテリアルの創製
Project/Area Number |
22K20481
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
菅原 章秀 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教 (50966447)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | ハイドロゲル / 応力応答 / 超分子結合 / 分子スイッチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度では、ホスト-ゲスト包接錯体の解離を駆動力としたハイドロゲルの体積相転移を実現するために、1次ネットワークにゲスト分子導入ポリ(N-イソプロピルアクリルアミド)(PNIPAAm)、2次ネットワークにシクロデキストリン導入親水性高分子を利用した相互侵入高分子網目様構造を有する超分子ハイドロゲルを作製した。さらに、ゲスト分子導入PNIPAAmリニアポリマーを同様にホスト-ゲスト相互作用を介し親水性ネットワークに導入したハイドロゲルを作製し、応力に応答した体積変化(膨潤または収縮)がみられるかどうかを評価した。しかし、これらのゲルからは力学刺激に応答した体積相転移はみられなかった。また、これらの温度応答性ハイドロゲルはその下限臨界溶液温度(LCST)以上ではよく収縮したことから、超分子架橋形成による体積相転移の抑制の効果は顕著にはみられなかった。このことから、当初想定した、LCST以上においてホスト-ゲスト包接錯体形成時のネットワークの脱水和抑制による準安定状態の創出が達成できなかったことが示唆される。 全研究期間を通して、セルロースやポリ(ビニルアルコール)、ポリ(N,N-ジメチルアクリルアミド)、PNIPAAmといった様々な親水性高分子にゲスト分子を修飾し、ネットワーク中に導入した超分子ハイドロゲルを作製した。この中にはゲルの伸長に応答し外観変化を呈するものも存在したことから、ホスト-ゲスト包接錯体は力学刺激に応答する分子スイッチとして機能することが示された。一方で、単純なホスト-ゲスト包接錯体のペアからなる架橋構造として導入した分子スイッチでは体積変化を誘起する程度の高分子鎖の大きな相転移は発現できなかったことから、包接錯体および高分子構造の分子設計の一層の最適化が求められることがわかった。
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