2022 Fiscal Year Research-status Report
配偶子致死遺伝子による転移因子の活性化が染色体切断を誘導するメカニズムの解明
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22K20578
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
山森 晃一 京都大学, 農学研究科, 特定研究員 (80964577)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 利己的遺伝因子 / コムギ / 配偶子致死 |
Outline of Annual Research Achievements |
配偶子致死 (Gametocidal: Gc) 遺伝子は自身を持たない配偶子に染色体切断を誘導することで自身を優先的に後代に伝達させる ‘利己的な遺伝因子’である。本研究ではGc遺伝子の作用機序の特定につなげるために、Gc遺伝子が染色体切断を誘導する領域を特定し、切断作用が特定のDNA配列や染色体構造をターゲットにしているかどうかを明らかにする。本年度はまず、Gc遺伝子による染色体切断領域を特定する実験系の確立を試みた。 放射線や紫外線などのゲノムストレスによるDNA鎖の切断は相同組換え (HR) や非相同末端結合 (NHEJ) によって直ちに修復される。本研究ではGc遺伝子によって切断される染色体領域を特定するために、切断されたDNAと相互作用することでHRを誘導するたんぱく質のγH2AXを抗体抗原反応によって検出することを試みた。 今年度はウエスタンブロッティングによって、染色体切断時に生じるγH2AXたんぱく質を検出するための抗体の作成を行った。予備実験として、抗生物質のZeocinを処理することで染色体切断を誘導したコムギの根からたんぱく質を抽出し、抗体によるγH2AXの検出を行った。その結果、γH2AXを検出することに成功し、染色体切断を検出する実験系を確立した。今後、作成したγH2AX抗体を用いてクロマチン免疫沈降法 (ChIP) を利用し、Gc遺伝子によって染色体切断が誘導される領域の特定に進む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
染色体切断を検出するための抗体作成に時間がかかり、計画が全体的にやや遅れている。抗体はすでに作成し、予備実験によって目的の抗原と特異的な反応を示すことを確認している。今後、作成した抗体によって配偶子致死遺伝子による染色体切断を検出できることを確認する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はGc遺伝子によって染色体切断が起きている葯から抽出したたんぱく質を用いてγH2AXの検出を試みる。その後はChiP-seqによってゲノム上のγH2AXの分布を特定し、Gc遺伝子による染色体切断領域の特定を行う。
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