2022 Fiscal Year Research-status Report
木材腐朽菌の新しいリグニン分解経路におけるキー酵素の性質解明
Project/Area Number |
22K20596
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Industrial Technology Research Institute |
Principal Investigator |
田丸 慶明 地方独立行政法人東京都立産業技術研究センター, 研究開発本部機能化学材料技術部バイオ技術グループ, 研究員 (90965865)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 木材腐朽菌 / 加水分解酵素 / 組換えタンパク質発現 |
Outline of Annual Research Achievements |
木材腐朽菌のリグニン分解メカニズムは酸化還元酵素で議論されており、加水分解酵素のリグニン分解への寄与度は明らかになっていない。これまでの報告より、木材腐朽菌に分解させた木材から得られたリグニン抽出物では、健全材のものと比較してカルボニル基の含有率が上昇することが明らかとなっている。ポリマー中のカルボニル基は加水分解が可能な化学構造の存在を示している可能性があることなどから、木材腐朽菌のリグニン分解メカニズムには酸化還元酵素だけでなく加水分解酵素も関与し得ると本研究で仮説を立てた。申請者は白色腐朽菌および褐色腐朽菌を含む担子菌のゲノム上より、加水分解酵素と推測される機能未知菌体外タンパク質遺伝子群を見出したことなどから本タンパク質群に着目し、当該組換えタンパク質の機能解析に取り組むこととした。また、見出した機能未知菌体外タンパク質と木材腐朽菌のリグニン分解メカニズムとの関連性を今後詳細に調査する可能性を考慮し、当該タンパク質の由来として、リグニン分解に関与することが知られるリグニンペルオキシダーゼ、マンガンペルオキシダーゼ、バーサタイルペルオキシダーゼを有していない木材腐朽菌であるGloeophyllum trabeumを選択した。本年度はG. trabeumのゲノム上より見出した複数個の当該機能未知菌体外タンパク質を、メタノール資化性の酵母菌を用いて異種宿主発現させ、組換えタンパク質として取得した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度では世界的な半導体不足が発生したことによって実験機器の納入が遅延し、研究の進行に遅れが生じた。必要な機器は順次納入されてきており、次年度は研究計画の遅れを取り戻せるように努めていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究で着目したG. trabeum由来の組換えタンパク質の一部はすでに十分量取得できていることから、次年度は精製した当該組換えタンパク質を用いて、機能解析を実施していく予定である。
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Causes of Carryover |
DNA配列解析の際に必要となる場合が生じる再解析およびプライマーの再設計や、オリゴDNA合成価格の変動に備えて予算を確保していたものの、実験が良好に進行したため、次年度使用額が生じた。次年度使用額は物品費として、タンパク質精製用の精製カラムの購入に充てる。
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