2022 Fiscal Year Research-status Report
黒毛和種の枝肉形質とルーメン微生物の関係解析-マルチオミクス解析を用いて-
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22K20608
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
佐藤 元映 宇都宮大学, 農学部, 助教 (10962805)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 反芻動物 / ルーメン微生物 / 枝肉形質 / メタゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
反芻動物では第一胃(ルーメン)に存在する微生物がエサを分解する。そして、微生物によって生成された短鎖脂肪酸やタンパク質を利用し、肉や乳を生産する。そのため、わが国の黒毛和種の「優れた脂肪交雑」と「ルーメン微生物」も関連すると考えられるが、その関係性は解明されていない。そこで本研究ではマルチオミクス解析(メタゲノム解析:細菌叢およびウイルス叢、メタボローム解析:代謝産物)を用いて黒毛和種のルーメン微生物およびその代謝産物と枝肉形質の関連を調べることとした。 ①本年度は、黒毛和種のルーメン内細菌叢を次世代シーケンサーを用いた16S rRNAアンプリコンシーケンスにより調べ、BMSナンバー(肉質の指標)および枝肉重量との関係性を調べた。BMSナンバーの高い個体と低い個体のβ多様性を比較した結果、明らかに異なるルーメン微生物叢が形成されていることが示唆された。同様に、枝肉重量の大きい個体と小さい個体の間にもルーメン微生物叢に違いが見られた。以上の結果から、黒毛和種の枝肉形質とルーメン微生物叢には関連があることが明らかになった。 ②次に、より詳細に黒毛和種のルーメン微生物叢と枝肉形質の関係性を調べるために、BMSナンバーおよび枝肉重量の高い個体と低い個体のルーメン微生物叢をショットガンシーケンスにより調べた(n = 34)。その結果、解析を行うのに十分な量のデータの出力に成功した(1サンプルあたり平均7000万リード以上)。本年度は出力されたデータの解析は行えていないため、来年度に解析を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定通り、黒毛和種のルーメン液のサンプリングおよび枝肉形質データの取得を行い、細菌叢の解析のために16S rRNAアンプリコンシーケンスやショットガンシーケンスまで完了した。さらに2023年度に行う予定であるウイルス叢の解析についても、年度早々にショットガンシーケンスを行うための準備が完了している。以上のように、研究は予定通り進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
ウイルス叢と枝肉形質に関連があるのかを調べる。また、代謝産物に関しても、メタボローム解析を行い枝肉形質との関連性を調べる。また、交雑種(黒毛和種×ホルスタイン種)のルーメン微生物と枝肉形質との関連性も調べ、本研究で見られた枝肉形質とルーメン微生物叢との関係が、黒毛和種に特徴的なものなのかどうかを検討する。
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