2022 Fiscal Year Research-status Report
単為発生胚を用いた成長期卵母細胞ゲノムにおける初期胚発生能獲得時期の同定
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22K20648
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
山崎 渉 秋田大学, バイオサイエンス教育・研究サポートセンター, 助教 (00966749)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 単為発生 / ZGA / 卵子成長 / 初期胚発生 / 核移植 / クロマチン構成 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度はマウス非成長期卵母細胞(non-growing: ng)単為発生胚(ng/ng)の8細胞期での発生停止原因を解明することを目的とし、実験を行った。ng卵母細胞は1~2日齢の雌マウス卵巣から採取し、GV期卵母細胞および排卵卵子は成熟雌マウスから採取した。これら卵母細胞を用いて、GV期-MII期における連続核移植、続いて、塩化ストロンチウムおよびサイトカラシンBによる単為発生活性化により、ng/ng単為発生胚を作製した。 初めにng/ng単為発生胚における初期胚発生能の詳細を観察した。その結果、活性化24時間後における2細胞期までの発生に問題はなかったが、48時間後以降に4細胞期を超えて発生した胚は約20%であり、そのほとんどが2細胞期で発生を停止した。そこで、ng/ng単為発生胚における胚性遺伝子活性(Zygotic Gene Activation: ZGA)を、1細胞期(Minor ZGA)および2細胞期(Major ZGA)にて、5-Ethynil Uridine (EU)を用いて検出し、染色後の相対蛍光強度を、成長が完了した卵母細胞単為発生胚(fully-grown: fg, fg/fg)と比較した。結果として、1細胞期(Minor ZGA)および2細胞期(Major ZGA)におけるEUの相対蛍光強度は、両者において有意な差は認められなかった。しかし、2細胞期におけるクロマチン構成を観察したところ、約40%のng/ng単為発生胚において核小体周囲へのクロマチンの凝縮の異常が観察された。これらの結果から、ng/ng単為発生胚の初期胚発生停止の要因として、2細胞期におけるクロマチンの凝縮不全が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画であった、ng/ng単為発生胚の初期胚発生能の概要が明らかとなった。引き続き成長期卵母細胞単為発生胚の作製に取り掛かっており、進捗状況は概ね順調であるといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究により、ng/ng単為発生胚における初期胚発生能の概要が明らかとなったため、次年度からは成長期卵母細胞ゲノムを用いた単為発生胚を作製し、初期胚発生能を明らかにする。また、胚盤胞期胚までの発生が認められたサイズとその直前の単為発生胚において、何が改善され初期胚発生が完遂したのかを明らかにする。 また、ng/ng単為発生胚の2細胞期におけるクロマチン凝縮不全が、初期胚発生において、何を意味するのかの探索も進めていく。 上記研究結果をまとめ、学会発表、論文投稿ができるように努める。
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Causes of Carryover |
ng/ng単為発生胚の多くが2細胞期で発生を停止したため、4細胞期および8細胞期で行う予定であった蛍光免疫染色による解析を行うことがなく、抗体の購入がなかったため。 次年度は、上記蛍光免疫染色用抗体および胚盤胞期での分化関連遺伝子の抗体を購入予定である。また、学会参加費用、論文作成および投稿費用に使用する予定である。
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