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2022 Fiscal Year Research-status Report

腸ホルモンによる栄養選択への意思決定メカニズムとその意義の解明

Research Project

Project/Area Number 22K20649
Research InstitutionGunma University

Principal Investigator

吉成 祐人  群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (30961388)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywords腸ホルモン / 栄養 / 代謝恒常性 / 高タンパク質食 / 神経ペプチド / 偏食
Outline of Annual Research Achievements

動物は摂取した食物に不足している栄養素を体内で感知し、その栄養素を補うように別の食物を選択することで、自身の代謝恒常性を保っている。このためには、栄養素のバランスを感知する機構と、その情報を行動や摂食嗜好性への変化へと転換する機構の双方が必要であると考えられるが、その仕組みについては未解明な部分が多い。
このような背景の中、申請者はモデル生物であるキイロショウジョウバエにおいて、一部の腸内分泌細胞集団が高タンパク質食の摂取により強く活性化されることを発見した。また、それらの細胞集団がCCHamide1(CCHa1)という分泌性因子を産生することを突き止めた。
そこで申請者は、腸ホルモンであるCCHa1が栄養の選択という行動にどのような影響を与えるかを調べることにした。
その結果、腸ホルモンCCHa1は腸へと投射するごく少数の神経細胞を刺激することで、摂食嗜好性を調節していることが明らかになった。さらに、CCHa1/CCHa1受容体のシグナルを阻害したキイロショウジョウバエは、高タンパク質食下において寿命の短縮がみられることが判明した。
本研究は、これまで不明だった腸ホルモンによるタンパク質に対する摂食嗜好性の調節メカニズムを明らかにするだけでなく、その調節メカニズムが破綻することで、個体のライフステージにおける栄養環境への適応に腸ホルモンが重要であることを提示するものであり、学術的重要性が高いと考えられる。
今後、さらにこの栄養ー腸ー神経間のシグナル伝達とその意義を詳細に解析することで、偏食や摂食障害をはじめとする、これまで原因が不明だった疾患の原因解明に繋がる可能性を秘めており、将来的な発展性や創造性が見込まれる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

申請者は、研究計画に則り、腸ホルモンであるCCHa1の機能阻害により、キイロショウジョウバエのタンパク質摂食が誘導されることを明らかにした。また、タンパク質に対する摂食嗜好性を調節する組織を特定するために、CCHa1受容体を発現する組織を探索したところ、腸付近に細胞体が存在する神経細胞集団の一部の神経がCCHa1を受容し、摂食嗜好性を調節していることを見出した。
さらに、CCHa1や当該神経細胞におけるCCHa1受容体の機能阻害により、高タンパク質食下における個体の寿命が減少することを見出した。
CCHa1のターゲットとする組織の特定が当該年度の研究計画の目標であったため、組織の特定、さらにはCCHa1と受容体が偏った栄養環境への適応に重要であることを見いだせたため、当初の計画以上に順調に研究が進展していると考えられる。

Strategy for Future Research Activity

腸付近に存在するCCHa1受容体陽性細胞がどのようにして摂食嗜好性を調節しているのかを調べる。特に、当該神経細胞の下流において機能する神経細胞を、トランスジェニック系統などを使用したラベリングにより特定する。

CCHa1やCCHa1受容体の機能阻害がどのようにして高タンパク質食下での寿命短縮をもたらすかを調べる。具体的には、タンパク質分解を行う組織へのダメージやストレス応答、アミノ酸の蓄積などを免疫組織化学染色法、LC-MS/MS・GC-MSを用いた代謝物解析などで評価する。

これらの解析を行うことで、高タンパク質食によって分泌が誘導される腸ホルモンがどのようにして摂食嗜好性や、高タンパク質食への適応を調節しているのかを包括的に理解する。

Causes of Carryover

運営交付金が十分に交付された、また予定していた国際学会への参加を次年度に見送ったため、次年度使用額が生じた。
次年度には、消耗品の購入、および国際学会への参加、論文の出版費用へと使用する予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2022

All Presentation (2 results)

  • [Presentation] A gut-derived hormone, CCHamide1, regulates high protein-diet dependent behavioral and metabolic responses in Drosophila melanogaster2022

    • Author(s)
      Yuto Yoshinari, Takashi Nishimura, Taishi Yoshii, Shu Kondo, Hiromu Tanimoto, and Ryusuke Niwa
    • Organizer
      Japan Drosophila Research Conference
  • [Presentation] A gut-derived hormone regulates high protein-diet dependent behavioral and metabolic responses in Drosophila melanogaster.2022

    • Author(s)
      Yuto Yoshinari, Takashi Nishimura, Taishi Yoshii, Shu Kondo, Hiromu Tanimoto, and Ryusuke Niwa
    • Organizer
      日本分子生物学会

URL: 

Published: 2023-12-25  

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