2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20748
|
Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
羽田 優花 日本医科大学, 大学院医学研究科, ポストドクター (80962349)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 血管発生 / 系譜追跡実験 / 成長 / ゼブラフィッシュ / イメージング |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、発生期の内皮細胞が成体の各臓器の血管形成にどの程度寄与しているかを明らかにするために、複数の誘導性Cre/loxP系を用いて血管内皮細胞を遺伝学的に標識できるゼブラフィッシュを樹立し解析を行なった。その中で、Cre配列をゼブラフィッシュのコドンに最適化したトランスジェニック魚における発生期(受精後5日以内)での組換え効率が最もよかった(7割)ため、この魚を用いることにした。 まず、成魚観察手法の確立をした。マウスで推奨されている透明化試薬を使用すると蛍光が減衰してしまったため、観察手法と試薬を検討したところ、1cm以下の若い成魚であれば、問題なく透明化でき、コンフォーカル顕微鏡で深度の許す限り鮮明な像を撮影できるようになった。この画像を用いて解析した結果、発生期にラベルされた全身の内皮細胞の割合と、その個体が成魚になった時のラベル細胞の割合はほぼ同じ(7割)であった。 また、今年度から導入した卓上ライトシート顕微鏡(descSPIM, https://doi.org/10.1101/2023.05.02.539136)により、上記の方法で最適透明化した大きいサンプルを全身で観察するための実験系をセットアップすることができた。descSPIMによるゼブラフィッシュのイメージングは世界初であり、共著論文の成果にもつながった。 本研究を通して、成長期の血管形成には、新たに分化した内皮細胞が寄与するよりも、発生期に分化した血管内皮細胞が分裂・増殖をすることで、成体の血管が形成されることが示唆された。今後は発生期に形成された内皮細胞の中に増殖率などの違いはあるのか、発生期に動脈・静脈どちらの由来のものがより成体血管に寄与するかなどを調べていく。さらに、descSPIMを用いて、発生期の1細胞に由来する成魚血管の構造を明らかにする。
|