2023 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
22K20784
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
福田 友彦 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (50805786)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | TWSG1 / BMP / がん抑制遺伝子 / がん幹細胞 / 細胞遊走 / EMT |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究ではまず2種類の卵巣癌細胞株(SKOV3,OVSAHO)を用いて、TWSG1のBMPに対する拮抗効果を評価した。TWSG1はBMP7によるSMAD1/5/8のリン酸化を抑制した。また、BMP7で誘導されるID1,SNAILのmRNA発現も、TWSG1は抑制した。以上から、TWSG1は卵巣癌細胞株に於いても子宮体癌細胞株同様、BMP7に拮抗的に働く事が示された。また、スフェア形成アッセイ,細胞遊走アッセイで各々、BMP7でスフェア形成の亢進,細胞遊走の亢進が観察されたが、TWSG1はスフェア形成の抑制,細胞遊走の抑制効果を持ち、機能的にもBMP7の腫瘍促進効果に拮抗する腫瘍抑制遺伝子である事が示された。 次に、臨床検体を用いたTWSG1発現の評価を試みた。まず、子宮体癌臨床検体でTWSG1のmRNA発現を観察し、正常内膜と比較し有意なmRNA発現低下を認めた。更に、子宮体癌では脈管侵襲を認める症例やhigh gradeな症例で有意にTWSG1のmRNA発現が低下していた。以上から、子宮体癌に於いてTWSG1は腫瘍抑制的に働く可能性が示唆された。次に、臨床検体を用いてTWSG1の免疫染色を試みたが、最適な抗体を同定出来ず、不十分な評価に終わった。卵巣癌臨床検体については現在収集中であり、今後、腹水のELISAを含め、総合的にTWSG1の発現を検討していく予定である。 以上から、卵巣癌に於いても子宮体癌同様にTWSG1はBMPに拮抗し腫瘍抑制的に働くと考えられ、BMP阻害剤の非特異性を考慮すれば、TWSG1の発現亢進を促す分子標的治療を同定出来れば、BMP経路特異的に卵巣癌の進展を抑制可能な新たな治療選択肢となる可能性が示唆される。
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