2022 Fiscal Year Research-status Report
血管肉腫におけるTGF-βシグナル伝達の解明と新規治療法の探索
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22K20796
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
坂元 亮子 熊本大学, 病院, 医員 (00965634)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 血管肉腫 / TGFーβシグナル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、血管肉腫に対する病態をTGF-βシグナル伝達経路の視点から解明し、発癌・癌浸潤・癌転移における作用機構の解明およびそこから導かれる新規治療法の可能性を探索することである。そこで、まず、血管肉腫におけるTGF-βシグナル伝達経路に関連する各種分子の発現レベルを解析するために、正常血管内皮細胞と血管肉腫細胞株を培養し、TGF-βタイプII受容体とALK1およびALK5、核内に蓄積して遺伝子転写反応を調節するSmad1/5とSmad2/3のリン酸化のイムノブロッティングを行った。結果、それぞれの細胞株におけるSmad1/5とSmad2/3のリン酸化に有意な差はなかったが、TGF-βタイプII受容体とALK1およびALK5の両方のレベルは、正常血管内皮細胞と比較して血管肉腫細胞株で有意に増加していた。In vitroでの発現の増加を認めたため、次にin vivoにおける発現レベルを解析することにした。現在、臨床症状、ステージ、予後をリスト化した血管肉腫患者組織と正常血管や老人性血管腫の組織を免疫染色している最中である。その免疫染色の結果をもとに転移や予後と相関するか検討する予定である。 同時に、活性型TGF-βと受容体との相互関係の検討するため、正常血管内皮細胞と血管肉腫細胞株における培養液中のTGF-βのレベルを測定した。結果、正常血管内皮細胞より血管肉腫細胞株において、 培養液中のTGF-βのレベル低下を認めた。次に、TGF-βの影響を調べるため、TGF-βを細胞に添加し、TGF-βタイプII受容体とALK1およびALK5のイムノブロッティングを行う予定だが、試薬の供給が間に合わず、待機の状態である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
海外からの試薬の供給が遅れており、実験が滞っている。
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Strategy for Future Research Activity |
血管肉腫細胞におけるエネルギー代謝とTGF-βシグナルの関連性の究明のため、細胞外フラックスアナライザーXFpを用いて正常血管内皮細胞と血管肉腫細胞株のOCR(ミトコンドリア呼吸;酸素消費速度)/ECAR(解糖系;細胞外酸性化速度)を比較する。 血管肉腫のEndoMTに関する分子メカニズムの解明のため、siRNAを用いて各種受容体の発現をノックダウンした培養血管肉腫細胞を用い、EndoMTに関連する分子(PECAM-1、Snail、VE-cadherin、SMA)の動態を解析し、その分子メカニズムを検討する。
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