2023 Fiscal Year Annual Research Report
リッキドバイオプシーを用いた濾胞性リンパ腫病勢進展の病態解明
Project/Area Number |
22K20799
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Research Institution | Wakayama Medical University |
Principal Investigator |
堀 善和 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (80963727)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | cfDNA / 濾胞性リンパ腫 / NGS |
Outline of Annual Research Achievements |
各患者から抽出したcfDNAを増幅し、NGSでターゲットシークエンスを行った。また、病理検体が入手可能であった、検体に関してもターゲットシークエンスを行った。得られたターゲットシークエンスの結果を処理し濾胞性リンパ腫と形質転換濾胞性リンパ腫の遺伝子特性を比較した。また、cfDNAと病理検体から得られた遺伝子情報も比較した。cfDNAは30検体の遺伝子情報を取得することができた。取得可能なcfDNA量自体が形質転換濾胞性リンパ腫の方が多いことを見出した。(この結果は第85回日本血液学会学術集会で報告した。)また、遺伝子の比較では、cfDNAからは既存の濾胞性リンパ腫で報告されている遺伝子変異が多く検出されたが、形質転換群、非形質転換群で有意差はなかった。しかし、TP53の変異が形質転換の有無にかかわらず70%を超える患者でcfDNAから検出された。TP53変異は病理検体からはほとんど検出されなかった。興味深いことにTP53のVariant Allele Frequency;VAFは、形質転換濾胞性リンパ腫で有意に多かった。この事は、濾胞性リンパ腫には潜在的にTP53陽性のクローンが診断初期から存在していること、TP53陽性クローンの拡大が形質転換と関連している可能性が示唆された。近年、病理検体からもシークエンス深度が深くなるとTP53の変異割合が増加することが報告され始めており、またTP53変異陽性群の方が予後不良と報告されている。TP53と形質転換の関係性を調べるためにはさらなる大規模コホートでの検討が必要である。
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