2022 Fiscal Year Research-status Report
TELO2を標的とした悪性ラブドイド腫瘍に対する合成致死療法の基盤形成
Project/Area Number |
22K20800
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
米澤 穂波 岩手医科大学, 薬学部, 助教 (90963364)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 悪性ラブドイド腫瘍 / TELO2 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は、抗寄生虫薬イベルメクチンがmTOR複合体を含むPIKKsの安定化に必須の因子であるTELO2に結合し、そのタンパク質レベルを低下させることを明らかにした。その後のデータベース解析により、複数の悪性ラブドイド腫瘍(malignant rhabdoid tumor, MRT)細胞株の増殖がTELO2に依存する可能性を見出した。MRTは、主に小児に発生する非常に予後の悪い希少がんであるが、標準治療は確立されておらず、有効な治療法の開発が重要な課題である。本研究では、「イベルメクチンはTELO2タンパク質レベルを低下させ、SMARCB1の欠損を特徴とするMRT細胞の合成致死を引き起こす」という仮説を立て、MRTに対するイベルメクチンの有効性を明らかにすることを目的とする。 2022年度は、イベルメクチンのMRT細胞に対する増殖阻害作用を明らかにした。また、MRT細胞において、イベルメクチンがTELO2およびその関連タンパク質のタンパク質レベルを低下させることも明らかにした。さらに、次年度の研究に使用するため、内在性TELO2をCRISPR-Cas9によってノックアウトしたMRT細胞を作製し、野生型TELO2またはイベルメクチン非結合型TELO2変異体によって再構成した。現在のところ、野生型TELO2による再構成MRT細胞を1クローン、イベルメクチン非結合型TELO2変異体による再構成MRT細胞を2クローン樹立することに成功している。2023年度は、これらのクローン細胞を用いて、イベルメクチンによる増殖阻害作用やTELO2減少作用について評価する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MRT細胞におけるイベルメクチンの作用を確認することができた。また、これまでに申請者はイベルメクチン非結合型TELO2変異体を作製済みであり、この変異体を用いて、内在性TELO2をノックアウトしたMRT細胞を再構成することができた。したがって、当初予定していた2022年度の目標はおおむね達成できたと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
イベルメクチン非結合型TELO2変異体で再構成したMRT細胞では、イベルメクチンによる増殖阻害作用やTELO2減少作用が見られなくなるかを確認する。また、野生型SMARCB1を発現させたMRT細胞においても、同様にイベルメクチンによる作用を確認する。以上により、SMARCB1とTELO2が合成致死の関係にあることを明らかにする。
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