2022 Fiscal Year Research-status Report
Interaction analysis of breast cancer organoids and pericytes to design novel strategies
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22K20807
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Research Institution | Japanese Foundation for Cancer Research |
Principal Investigator |
家里 明日美 公益財団法人がん研究会, NEXT-Gankenプログラム がん細胞多様性解明プロジェクト, クリニカルリサーチフェロー (00646234)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | リンパ管侵襲 / 乳癌 / 微小環境 |
Outline of Annual Research Achievements |
申請者は先行研究で、甲状腺内ペリサイトは、multi-TKI (レンバチニブ)への感受性が癌細胞よりも高く、レンバチニブはPDGFRβの下流のMAPK、PI3K pathwayを負に制御していることを示した。甲状腺癌細胞とペリサイトを共培養すると、いずれも増殖能が増加し相互依存性が示唆された。さらにペリサイトとの共培養下でレンバチニブは高い癌細胞死を誘導した。つまりレンバチニブは、ペリサイトを標的とし、間接的に癌細胞を抑制したと考えられる(Iesato JCEM2021, Iesato Thyroid 2023 in press)。これまでの解析から、甲状腺癌細胞とペリサイトの相互作用が明らかとなったが、他固形癌種においてペリサイトが同様に機能するか不明である。乳癌においてもがん微小環境内にペリサイトを含有しており、ペリサイトが乳癌の進行度、悪性度に関与している可能性が考えられた。ペリサイトと癌の相互作用を標的とする治療開発を目指し研究を計画した。その後行った後方視的解析では、リンパ管侵襲が高度であるほど乳癌の病期が進行しており、リンパ管侵襲は最終出産後期間と逆相関していた。またリンパ管侵襲と最終出産後10年未満はいずれも独立予後不良因子であった。乳癌では、リンパ節転移が進行した症例ほどVEGF-C、D、Aの発現が高く、リンパ管内皮細胞(LECs)増生やリンパ管新生刺激が癌の進展、予後に関わる可能性がある。乳癌においては血管よりもリンパ管との相互作用に着目して解析した方が臨床に貢献できると考えられた。これらから、産後10年未満の乳腺退縮における微小環境変化に着目し、リンパ管侵襲と癌との相互作用の研究を行うこととした。これまでに、乳腺からリンパ管内皮細胞を単離、樹立し、リンパ管侵襲陽性乳癌オルガノイドも複数樹立した。また共培養した場合の増殖能、遊走能変化を解析している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
乳癌の特性を考慮に入れて治療標的を探索するため、着目する微小環境因子がペリサイトからリンパ管内皮に変更となった。しかし細胞間の相互作用を解析する全体の流れは変わりない。これまでに、研究目的(1)で示した、リンパ管侵襲陽性癌組織を使った3D培養検体作成について、リンパ管内皮細胞株は計5検体樹立しており、細胞識別のための蛍光も導入し、共培養に向けて進めている。乳癌オルガノイドは既存の検体が十分あり、追加でリンパ管侵襲陽性の乳癌オルガノイドを3検体樹立し、細胞識別のための蛍光、およびバーコードを挿入している。 また乳癌オルガノイドとリンパ管内皮細胞の3D共培養に用いる条件設定も、細胞の比率、用いる培養液は決定している。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)リンパ管内皮の単離培養は複数検体から済んでいる。今後、単離した細胞がリンパ管内皮であることを検証するためにCD31、podoplanin、VEGFR3のWstern blot、VEGF-C添加による細胞増殖能変化を解析する。 (2)乳癌オルガノイドとリンパ管内皮細胞の3D共培養による、細胞増殖、遊走能、薬剤効果など細胞間相互作用の解析。 (3) リンパ管内皮細胞の乳癌細胞への作用の解析。リンパ管内皮細胞の培養上清を乳癌オルガノイドに添加(または接着しないような共培養環境形成)と、細胞同士接着した状態での共培養を比較する。液性因子主体と判断した場合にはセクレトームを解析する。(4)シングルセルRNAseq解析で、リンパ管内皮細胞を含む乳癌内の間葉系細胞の組成の解析。(5)乳癌組織の中のリンパ管内皮細胞を主とする間質細胞の介在数の解析。乳癌の臨床検体を用いて、リンパ管内皮細胞のマーカー染色により、リンパ管内皮細胞含有率を算出する。他、血管内皮細胞や免疫細胞のマーカーも染色し、がん微小環境の状況を解析する。
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Causes of Carryover |
2022年度に参加する予定であった国際学会にオンライン参加する方針となったため、予定より使用額が少なくなった。2023年度のアメリカ癌学会に参加する予定であるため、そちらに用いる予定である。また実験に用いる研究費は当初の2023年度分のとおり使用する予定である。
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