2022 Fiscal Year Research-status Report
新しい解析手法を用いたマルチオミクス解析による知的障害/発達遅滞発症機序の解明
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22K20852
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
平出 拓也 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (70783447)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | マルチオミクス解析 / ゲノム解析 / RNA解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
知的障害/発達遅滞発症の症例9症例に対し、患者末梢血DNAを用いゲノム解析を行った。フェノーム解析により疾患原因遺伝子をスコアリングし、疾患と関連が高い順に候補遺伝子をランキングした。Deep learningによるスプライシング予測プログラムを利用してバリアントの絞り込みを行った。尿検体を得られた症例においては、尿由来細胞のRNA解析を解析におけるバリアント解釈に利用した。これらの解析方法は、膨大なゲノム解析データの解析に非常に役にたっている。すべてのデータを解析しきれていないため、引き続き来年度も解析を進めていく。ゲノム解析とRNA解析によるマルチオミクス解析の結果、知的障害と脳形成異常を伴う症例において、イントロンにレトロトランスポゾンが挿入され、スプライシング異常が起きている可能性が考慮される症例を同定した。ショートリードシークエンサーでは挿入の全域を明らかにすることができていない。ロングPCRでも増幅困難な領域であり、ロングリードシークエンサーを用いたゲノム解析が必要である。イントロンにおけるレトロトランスポゾン挿入が疾患原因になることを解明することができれば、今回の研究目的である新しい疾患発症機序の同定につながる。来年度に継続して解析を行う予定である。また、別の症例において、エクソン領域ではあるが、今まで報告のない新しい遺伝子に新規疾患発症機序を同定した。これまでは、同領域における複数の遺伝子を含む欠失が報告されていたが、単一遺伝子を原因とする症例の報告はない。ヒトの頭蓋や顔面の発達に関わる可能性のある遺伝子であり、発表のため論文を作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標の数のゲノム解析を施行することができた。一方、解析データが多いためすべてを解析しきれていないため来年度も継続して解析を行う必要がある。まだ全容を解明できていないが、新しくイントロン領域のバリアントでスプライシング異常を引き起こす可能性のあるバリアントを同定することができた。以上のことから、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に行ったゲノム解析の解析を引き続き行う。来年度も症例を集め、10症例を目標にゲノム解析とRNA解析を行う。今年度にみつかった、イントロン領域に挿入されたレトロトランスポゾンによるスプライシング異常の解明のため、新しくロングリードシークエンサーを用いたゲノム解析を行う。
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Causes of Carryover |
解析対象の症例が少なかったため次年度使用額が発生した。次年度のゲノム解析やRNA解析のための解析費用に使用する。
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