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2022 Fiscal Year Research-status Report

E. faecium特異的ファージ由来溶菌酵素を用いた新規急性GVHD制御法の開発

Research Project

Project/Area Number 22K20931
Research InstitutionOsaka Metropolitan University

Principal Investigator

林 哲哉  大阪公立大学, 大学院医学研究科, 助教 (10779408)

Project Period (FY) 2022-08-31 – 2024-03-31
Keywords急性移植片対宿主病 / バクテリオファージ
Outline of Annual Research Achievements

同種造血細胞移植(同種移植)後の主要な合併症である急性移植片対宿主病(GVHD)の病態における、腸内共生病原菌の候補であるE. faecium菌を特異的に溶菌可能なバクテリオファージ(ファージ)由来酵素を探索すべく、本研究を実施した。
先行研究において実施した、大阪公立大学医学部附属病院血液内科・造血細胞移植科において同種移植を施行された患者の腸内細菌叢の解析結果を元に、Enterococcus属細菌の構成割合が相対的に増加している症例を抽出した。それらの症例の糞便中より、Enterocoocus属細菌を選択的に培養可能な培地を用いて単離した、計約150株程度のE. faecium菌株よりゲノムを抽出した。これらのゲノムを用いて次世代シークエンス用ライブラリを作成し、次世代シークエンサー(illumina Hiseq)によるショットガンシークエンスを実施した。スーパーコンピュータを用いて、えられたシークエンスデータをアセンブルし、えられたコンティグに対してプロファージ配列を同定した。このプロファージ配列に対し、ファージゲノムが持つ溶菌酵素として知られているエンドライシンのゲノム配列、及び溶菌活性ドメインや細胞結合ドメインを保持する新規溶菌酵素の候補となるタンパクのゲノム配列を網羅的に抽出した。得られた溶菌酵素のアミノ酸配列をクラスタリングし、特徴的な構造を持つタンパクを抽出した。以上の工程により、E. faecium特異的溶菌酵素の候補となるゲノム配列を複数同定した。これらのゲノム配列を含むプラミドベクターを作成し、大腸菌を用いてタンパクを合成した。結果として、E. faecium特異的溶菌酵素の候補となるタンパクを、一種類合成することに成功した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

E. faecium特異的溶菌酵素の候補となるタンパクのゲノム配列・アミノ酸配列を複数同定できた。一方で、合成できたタンパクは現状一種類のみであり、大腸菌の培養条件等を調整することにより、複数のタンパクを安定して合成できる方法を検討する必要がある。

Strategy for Future Research Activity

精製したタンパクを、宿主であるE. faeciumの培養液に添加して経時的な吸光度を計測することで、in vitroの溶菌効果を解析する。また、E. faeciumを無菌マウスの腸内に定着させたノトバイオートマウスを作製し、それらのマウスを用いた急性移植片対宿主病モデルに対し、作製した溶菌酵素を経口投与する。溶菌酵素投与の有無による腸内E. faeciumの減少効果、および急性GVHDの発症抑制効果の違いを検討する。最終的には、E. faeciumを含む同種移植患者の糞便を定着させたノトバイオートマウスモデルを作成し、同様の検討を行う。これらの実験により、E.faecium特異的溶菌酵素の、急性GVHDの新規制御製剤としての有効性を検討する。

Causes of Carryover

E. faeciumのゲノムに含まれる溶菌酵素をコードした配列をクローニングし、大腸菌に発現させることでタンパクを人工的かつ大量に合成すること、及び合成した溶菌酵素の、in vitro及びin vivoの効果判定を行うことを予定していたが、その工程を主に次年度に実施することとなった。そのため、分子生物学的実験試薬や微生物培養関連試薬の購入費を、主に次年度に計上することとなり、次年度使用額が生じた。これらの実験計画に加え、マウスに微生物を定着させたノトバイオートマウスを作製することを予定しており、無菌マウスの購入を予定している。また、研究成果の発表のための旅費及び論文投稿に必要な経費としての使用を予定している。

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Published: 2023-12-25  

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