2023 Fiscal Year Annual Research Report
卵巣高異型度漿液性腺癌の早期発見につながる新規リキッドバイオプシー法の開発
Project/Area Number |
22K20973
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 実咲 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教員 (50962875)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 卵巣がん / デジタルPCR / 環状RNA / 高異型度漿液性癌 / p53 / バイオマーカー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は卵巣高異型度漿液性癌(HGSOC)に焦点を当てた解析を行った。具体的には大阪大学医学部附属病院で2019-21年に加療を行った24例のHGSOC症例より患者血清と腫瘍組織よりRNAを抽出した。HGSOCの新しいバイオマーカーとして血中に安定して存在している環状RNAの発現を解析した。具体的には、2 症例のHGSOC癌患者の癌組織と対側の正常卵巣よりRNAを抽出し、circRNA microarrayを行い、2 症例ともに特異的に高発現している circESRP1 に着目した。In vitro の実験系において HGSOC細胞株であるOVCAR3、CaOV3、HeyA-8、SKOV3ip1細胞におけるcircESRP1の発現を検討し、卵管上皮細胞に比べてHGSOC細胞株で発現が上昇していることを確認した。さらに細胞株に circESRP1 の siRNA を transfection し、細胞のアポトーシスが誘導され増殖能が低下することを確認した。circRNAの miRNA sponge 機能に着目し、In silico 解析で circSOD2 と結合する miRNA として miR-182-5p を検討し、その結合を RNA pull-down assayで確認した。Proteomics 解析で、circSOD2をノックダウンすると発現が有意に低下するタンパク質の同定を行い、その中で細胞周期に関連する CDK1 に着目し、それらの発現が circESRP1 により制御されていることをwestern blot で確認した。以上、HGSOC の発がんにおける circESRP1 の役割を解明し、治療標的となる可能性を提示した。一連の研究成果は2024年の第76回日本産科婦人科学会で口演発表した。
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