2022 Fiscal Year Research-status Report
血小板活性化因子受容体PAFRを介した抗癌剤に対する新規効果増強療法の開発
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22K20985
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
小山 知芳 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (10741811)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 口腔癌 / PAF / PAFR / オート・クライン |
Outline of Annual Research Achievements |
PAFは血小板だけでなく、血管内皮細胞やPAFRを産生発現する種類の癌細胞にも結合して様々な作用を及ぼし、血小板との結合で血小板凝集を起こして塞栓形成を促進するとされている。血管内皮細胞に結合すると、その増殖性と運動性を増加するだけでなく血管透過性、血管新生能を高め、PAFを分泌している細胞自体もさらに活性化するとされている。近年、PAFとそのレセプターPAFRの発現がいくつかの癌腫において有意に高いことが報告されている。また、抗癌剤の感受性に対しても関与しているとの報告もある。PAFはPAFRを発現する癌細胞に結合すると、癌細胞の増殖能を増強させ、運動性や細胞走化性、さらにはサイトカイン合成・放出能を高めるとされている。これらの機能を考えると、恐らくPAFは癌の増殖・浸潤・転移などに非常に重要な役割を果たしていることが推測できるが、詳細な研究は未だ報告されていない。本研究は細胞の外分泌因子の一つである血小板活性化因子(PAF:Platelet activating factor)とそのレセプターであるPAF受容体(PAFR:PAF receptor)の、オート・クライン作用による癌の悪性循環による急激な進展への関与の程度を明らかにするとともに、OSCCにおけるシスプラチン感受性への影響とメカニズムを明らかにし、その産生機構を詳細に解析し、その産生過程中に分子標的を求め、その標的を阻害する治療薬を開発することを最終目標としている。 本年度は口腔扁平上皮癌由来細胞株(OSCCs)10種類およびヒト口腔粘膜上皮角化細胞(HNOKs)におけるPAFRの発現状態を確認し、作製したPAFR発現抑制株から細胞増殖能の差がないこと、CDDP感受性が増大することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に進捗状況を示す。 1.口腔扁平上皮癌由来細胞株(OSCCs)10種類およびヒト口腔粘膜上皮角化細胞(HNOKs)におけるPAFRの発現状態を確認した。 2.PAFRの下流においてCDDPの効果を減弱させる経路を同定した。 3.PAFR発現抑制株を作製し、細胞増殖能に差が出ないことを確認した。 4.PAFR発現抑制株においてCDDP感受性が増大することを確認した。
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Strategy for Future Research Activity |
先行実験で得た口腔癌細胞株におけるPAFRの発現解析、口腔癌細胞株における抗癌剤感受性解析、PAFR発現細胞株を用いた機能解析の結果を基にし、下記内容について明らかにする。 1.口腔癌細胞株における抗癌剤感受性解析 2.PAFR発現抑制株において抗癌剤感受性変化の解析 3.PAFR阻害剤をIPA(Ingenutiy Pathway Analysis)にて検索し、抗癌剤併用においての感受性変化の解析
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Causes of Carryover |
PAFR発現抑制株を用いた多岐にわたるパスウェイ解析(WB含む)を予定しているため
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