2022 Fiscal Year Research-status Report
JNK阻害による抗炎症作用は歯周組織再生に関与するか?
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22K21065
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
兼子 大志 九州大学, 大学病院, 助教 (50962495)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 歯根膜幹細胞 / JNK阻害剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
重度の歯周疾患において歯周外科療法は効果的な治療法として確立されているが、周囲組織に著しい傷害を伴う場合、治療の予後が悪くなることが問題点として挙げられる。そのため、より予知性の高い歯周組織再生療法の開発が待望されている。 申請者は最近、JNK阻害剤が歯根膜幹細胞の骨芽細胞分化を促進し、また傷害による歯周組織欠損部の歯槽骨及び歯根膜の再生を促進することを報告した。しかしながら、その再生メカニズムは未だ明らかでない。そこで申請者は、JNK阻害剤による歯周組織再生のメカニズムの一端としてJNK阻害による抗炎症反応に着目した。本研究では、JNK阻害剤が歯周組織において抗炎症作用を有しているかについて検証を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット下顎骨頬側から下顎第一臼歯遠心根および第二臼歯近心頬側根の頬側に、歯根膜組織を含む歯槽骨欠損部をラウンドバーにて形成、JNK阻害剤を浸漬させたアテロコラーゲンスポンジを填入した。コントロール群にはDMSOを用いた。その後、1, 3, 5, 7, 14日でラットを屠殺し下顎骨を摘出し、これらの切片を作製後、組織学的解析を行った。その結果、JNK阻害剤群では、コントロール群と比較して歯周組織欠損部における骨修復が促進し、傷害部位近傍でのOsterixの発現も上昇した。また、歯槽骨再生部近傍においては、歯根膜関連因子であるPeriostinの発現も上昇していた。さらに歯周組織傷害~再生の過程におけるマクロファージの発現動態解析のためM1マクロファージの分化マーカー(CD80)およびM2マクロファージの分化マーカー(CD206)について免疫組織化学染色法により解析を行った。その結果、JNK阻害剤群ではコントロール群と比較して傷害部位におけるCD206の発現が上昇傾向を示した。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の研究結果から、JNK阻害剤による歯周組織再生促進に歯根膜幹細胞の抗炎症反応が関与している可能性が示唆された。そこで、in vitroにおいてJNK阻害剤がマクロファージの分化に及ぼす影響および、またその分化に影響を及ぼすシグナル解析およびその他の炎症性のシグナルに及ぼす影響について検証を行うことを予定している。
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Causes of Carryover |
免疫染色に使用した一次抗体(Osterix, Periostin, CD80, CD163, CD206)および二次抗体(DAB, FITC)は申請者の所属する医局の他の医局員が既に購入していたものを使用したため、本年度新たに購入する必要がなかった。また、コロナウイルス感染症の影響で、学会等がオンライン開催となったため、旅費が必要なかった。
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Research Products
(1 results)