2023 Fiscal Year Annual Research Report
新型コロナウイルス感染症のアウトカムと医療資源の地域差に関する研究
Project/Area Number |
22K21103
|
Research Institution | National Center for Global Health and Medicine |
Principal Investigator |
三村 亘 国立研究開発法人国立国際医療研究センター, 臨床研究センター, 上級研究員 (80895483)
|
Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
|
Keywords | 新型コロナウイルス感染症 / 地域差 / 新型コロナワクチン |
Outline of Annual Research Achievements |
4自治体のデータを用いコホート研究を実施し、オミクロン流行期におけるワクチン接種とCOVID-19医療提供体制の関連及び医療提供体制の地域差を評価した。研究対象者はBA.1/BA2流行期(2022/1/1-2022/6/30)、BA.5流行期(2022/7/1-2022/8/31)の二つの期間において、HER-SYSでCOVID-19と確認された65歳以上のレセプトのある患者とした。COVID-19前のワクチン接種状況はVRSデータによって定義し、医療提供体制は14日以内の薬剤処方と30日以内の入院とした。ワクチン接種と入院及び薬剤処方との関連及び医療提供体制の地域差に関してマルチレベルロジスティック回帰分析を用いて評価した。BA.1/BA2流行期、BA.5流行期において6,395人(女性 57.2%; 平均年齢 78.7歳)、11,409人(女性 58.5%; 平均年齢 78.7歳)を組み入れた。各流行期の30日以内の入院患者数は、1,506人(23.5%)、1,048 (9.2%)であった。未接種と比較した際のワクチン接種の入院に対するオッズ比は1回接種 0.65から4回接種 0.25と回数の増加とともに低下する傾向にあったが、ワクチン接種と治療薬処方との関連はみられなかった。入院のmedian odds ratio (MOR: 入院傾向が高い自治体と低い自治体で同一の背景を持つCOVID-19患者を比較した際のオッズ比の中央値)はBA.1/BA2流行期で1.70であった一方で、BA.5流行期では1.18であった。治療薬のMORは期間よらず1に近い値を示した。ワクチンの接種は入院の減少に関連する一方でBA.1/BA2流行期においては自治体間で入院の地域差が確認された。BA.5流行期にはその地域差は縮小し、4回目のワクチン接種による影響が示唆された。
|