2023 Fiscal Year Annual Research Report
腰痛有訴者が示す恐怖回避行動の簡便かつ正確な定量的評価システムの開発と検証
Project/Area Number |
22K21232
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Research Institution | Medical Corporation Tanakakai Musashigaoka Hospital ""Clinical Research Center"" |
Principal Investigator |
藤井 廉 医療法人田中会武蔵ヶ丘病院(臨床研究センター), 武蔵ヶ丘クリニカルリサーチセンター, 臨床研究員 (90954727)
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Project Period (FY) |
2022-08-31 – 2024-03-31
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Keywords | 恐怖回避行動 / 運動学的分析 / 慢性腰痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
就労者の多くが経験する作業関連性腰痛(以下;腰痛)は,就労者の労働生産性を著しく低下させることで,多大なる社会経済的損失を生み出している.腰痛の病態に関与する要因の一つに運動恐怖が挙げられ,腰痛の発症・慢性化に悪影響を及ぼしていることが指摘されている.本申請研究では,運動恐怖による体幹運動の異常を臨床現場で簡便かつ正確に計測し,判定できる評価システムを構築することを目的とした. 腰痛のない就労者を対象に,重量物持ち上げ動作中の体幹最大屈曲/伸展角速度を動作解析システムによって算出した.また,課題前後に痛み強度と恐怖心の程度を聴取した.加えて,Tampa Scale for Kinesiophobia for general population(TSK-G)を使用して,潜在的な恐怖心を評価した.その結果,課題時に痛みの訴えはなかったが,課題遂行前に恐怖心が生じた者が存在した.この恐怖心はTSK-Gと有意な正の相関を認めた.加えて,TSK-Gは体幹最大伸展角速度と有意な正の相関を認め,TSK-Gが高値な就労者ほど,体幹最大伸展角速度が低値であることが示された. 腰痛経験がなくとも,潜在的に恐怖心を抱く就労者は,課題遂行前に恐怖心を過大評価するとともに,腰部を保護するような運動行動を呈することが示された.そして,その運動行動は体幹伸展運動の緩慢さによって現れることが明らかとなった. 体幹伸展運動に着眼することで,運動恐怖による体幹運動の異常を検出可能であることが明らかとなった.
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