2022 Fiscal Year Research-status Report
Reestablishing immune tolerance and homeostasis in autoimmune and autoinflammatory diseases
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22K21354
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
竹田 潔 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20309446)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒崎 知博 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授(常勤) (50178125)
坂口 志文 大阪大学, 免疫学フロンティア研究センター, 特任教授(常勤) (30280770)
石井 優 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (10324758)
茂呂 和世 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90468489)
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Project Period (FY) |
2022-12-20 – 2029-03-31
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Keywords | 免疫寛容 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫系異常による疾患が近年増加しつつある。自己抗原寛容破綻によって生じる自己免疫疾患、又、腸内細菌、花粉等環境因子に対する過剰免疫反応による炎症性腸炎(IBD)、アレルギー疾患、更に、自然免疫過剰による自己炎症性疾患等である。本研究では、既に、免疫寛容・恒常性維持の基礎研究で国際的に大きな実績のある日本サイドの5人の研究者が、海外研究チームと強い連携・相互作用して、より一層深い基礎メカニズムの解明、更に、海外臨床研究チームと共に、これら疾患を予防・治療する革新的治療法の開発を目指す。また、このプログラムを通じて、この分野に精通した将来の国際的競争力を有する若手研究者の育成を目指す。 2022年度は約4か月と短い研究期間であったが、竹田は、腸管免疫において、糖鎖へのシアル酸付加がバリア機構に重要であることを見出した。坂口は英国バーミンガム大学から若手研究者を受け入れ、自己免疫病患者からのサンプルを用い、制御性T細胞の新規誘導法に関して検討した。黒﨑は、マウスを用いてメモリープラズマ細胞のnicheへの移動にKLF2が必須であることを見出し、同様のメカニズムが霊長類動物でも働いていることを確かめるため米国ラホーヤ研究所の研究グループと綿密な研究計画を構築した。石井は自己免疫疾患関節リュウマチを引き起こす病原性マクロファージを同定するために、フランスマルセイユ研究所の研究グループと、どのような遺伝子背景のマウスを作成するべきか綿密な議論・打ち合わせをおこなった。茂呂は肺線維症自然発症するIFNgR/Rag-2欠損マウスをモデルにして、その発症に好中球とILC3という2種類の細胞が関与している可能性を明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述しているように、5人の研究者ともに、研究課題は十分に絞られ、それぞれ確実な成果と新しい知見を得つつある。又、4か月と短い研究期間ではあるが、既に、海外研究チームと、若手研究者の交換等をはじめている(坂口)グループもある。他の国内研究グループは、それぞれの研究チームが見つけたユニークな研究成果に基づき、海外研究チームと綿密な議論・打ち合わせを行い、若手研究者の交換をはじめとする2023年度の連携研究計画を構築してきている。以上概ね順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
竹田は、予定通り腸管恒常性にかかわる特異的な糖鎖構造を、ヒト炎症性腸疾患(IBD)との観点で、米国スタンフォード大学と連携して進めていく。坂口は英国バーミンガム大学若手研究者を2023年度も受け入れ、ヒトサンプルを用いた制御性T細胞の研究を強力に推進していく。黒﨑はメモリープラズマ細胞の研究を米国ラホーヤ研究所に若手研究者を派遣して進めていき、ヒトでも適用できる普遍的なメカニズム解明に努める。石井はフランスマルセイユ大学と若手研究者を相互交換し、病原性マクロファージ同定の研究の一層の促進を図る。茂呂は計画通り、2023年7月に英国バーミンガム大学にて共同研究に向けたミーティングを実施する予定である。
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Causes of Carryover |
全体的な繰越理由としては、2022年度は実質3か月しか予算が使用できない、又、既に粛々と2022年度予算執行の既存計画が存在していた、が大きな理由である。そのような状況にもかかわらず、予算執行に努めてきたわけであるが、1)若手研究者が実験を進めるための環境整備として機器購入検討したが、購入しようとした製品の性能・機能を確認するのに時間がかかり、結果的に年度内納入が難しいことが判明した(坂口・石井)。又、2)特にCOVID-19、ウクライナ等の問題と考えられるが、メーカーサイドの問題で年度内納入が困難(茂呂・黒﨑)になった。消耗品等の購入も同様の問題が生じて、購入が困難になった(坂口)。いずれも2023年度に繰越して、該当機器・消耗品の購入を進めていく(坂口・黒﨑・茂呂)。又、本プロジェクトに適任の若手特任研究員の発掘に成功したので、一部人件費に充当する予定である(石井)。
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