2022 Fiscal Year Annual Research Report
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21F21053
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Allocation Type | Single-year Grants |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
陳 強 東北大学, 工学研究科, 教授 (30261580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
LI DAOTONG 東北大学, 工学(系)研究科(研究院), 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2021-11-18 – 2024-03-31
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Keywords | 無線電力伝送 / アンテナ / フィルター |
Outline of Annual Research Achievements |
無線電力伝送システムの伝送効率を向上するためには、システム内のアンテナやフィルターなどのコンポーネントの性能向上が非常に重要である。本研究では、高利得アンテナや高効率マイクロ波整流器、さらにシステムの小型化に関する研究が行われている。高利得アンテナについては、誘電体共振器アンテナとアレーアンテナの設計法に基づいた、広帯域で高利得なアンテナの研究が行われている。また、システムの小型化を実現するためには、高性能フィルタアンテナ技術の研究も行われている。さらに、整流効率向上のためには、マイクロ波の非線形回路理論に基づいた、広い周波数帯域でかつ広いダイナミックレンジを持つ高効率なマイクロ波整流回路の開発も行われている。 今年度の主な研究成果は以下のと通りである。(1) 誘電体共振器を用いた広帯域で高利得なアレーアンテナを提案し、アンテナ利得の向上とアンテナ帯域幅の拡大に成功し、遠隔地における高効率な無線電力伝送のシステムに適用している。(2) システムの小型化と一体化を実現するために、フィルタとアンテナを一体化し、フィルタ特性を備えた高利得アンテナの開発に成功し、送受電アンテナの利得と伝送効率を改善している。ここで使用されているアンテナは、平面レンズアンテナの技術と組み合わせることで、アンテナの利得が大幅に改善されている。(3) 高調波制御と電力の動的配分技術に基づき、広いダイナミックレンジにおいて、高効率、広帯域の整流器の設計法を提案している。 上記の研究成果について、8編のジャーナル論文にまとめられている。そのうち、3編の論文は採択決定済みで、2編は査読中で、残りの3編は執筆中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1) 誘電体共振器の高次モード理論に基づき、ミリ波高利得アンテナを開発し、実験により設計法の有効性を検証した。また、狭い空間での応用を考慮して、再構成可能な高利得アンテナを誘電体共振器に基づいて開発した。関連の研究論文は、採択決定済み3編、投稿済み3編となっている。 (2) ビーム走査機能を備えたアンテナに関しては、3Dプリンティングによって作られる無給電金属板を機械的に制御することにより、E平面では±24°、H平面では±18°と広範囲の走査範囲が実現できている。電気的制御がなくても、1素子のアンテナで最大利得10.6dBiが達成できている。また、電気制御で再構成が可能な制御方法と誘電体共振器理論に基づいて、アレーアンテナの設計方法と組み合わせることで、アンテナのビーム走査は、異なる動作モードを制御することによって実現できることが示されている。関連の研究は、採択決定済み1編、投稿済み1編となっている。 (3) 広いダイナミックレンジで高効率な整流器に関しては、整流回路の基本設計と実験的検証が終えており、10dBのパワーダイナミックレンジにおいて、67%以上の整流効率が実現できている。 (4) フィルタアンテナについては、フィルタとアンテナの一体化の設計法に基づき、高性能フィルタアンテナのプロトタイプを4セット完成している。関連の研究は、採択決定済みは1編、投稿済み1編、作成中1編となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、高効率の無線伝送システムの技術が実用化されるように、さらなるシステムの高度化を行うことが必要である。具体的には、以下の点に注力する必要があると考えている。 (1) 広帯域で高利得で広角走査が可能なアンテナアレー技術の開発:誘電体共振器を用いた高利得で広帯域のアレーアンテナの実験検証を継続し、これに基づいて、電力ビームの広角走査を達成するためのアンテナビーム走査法に関する研究を行う。 (2) 高効率で高利得なアンテナ技術の開発:誘電体装荷によるアンテナの利得の向上効果をさらに高め、3D積層造形技術に基づいた高利得アンテナとアレーアンテナのモデリングと解析法を確立し、アンテナの帯域と利得を改善し、小型化と軽量化を実現する。 (3) 電力伝送と信号伝送の統合伝送技術に関する研究:既存の無線電力伝送システムは、電力のワイヤレス伝送機能のみを持っているが、情報伝送も可能なシステムの発展が望まれている。本研究では、電力と情報の伝送を融合し、誘電体共振器のマルチモード理論を用いて、電力と信号の統合伝送システムを実現することを目指す。また、当該システムの電磁干渉の環境電磁問題についても検討を行う。 (4) 高効率の無線電力伝送システムの小型・集積化技術の開発:高効率の整流回路技術、小型フィルタアンテナ技術を開発し、AiP技術と誘電体共振器の一体化パッケージング法を用いて、小型で高効率なレクテナの開発を実現する。
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