2023 Fiscal Year Annual Research Report
Stoichiometric effects of leaf litters on secondary production in lake ecosystems
Project/Area Number |
22KF0024
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
占部 城太郎 東北大学, 生命科学研究科, 教授 (50250163)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
HO PEI-CHI 東北大学, 生命科学研究科, 外国人特別研究員
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Project Period (FY) |
2023-03-08 – 2024-03-31
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Keywords | 湖沼生態系 / 栄養補償 / 落葉 / 細菌 / 原生動物 / 藻類 / 食物連鎖 |
Outline of Annual Research Achievements |
水生生物による落葉起源炭素の利用効率は極めて低く、湖と森のリンク機構には窒素やリンなど栄養塩供給も重要と考えられる。しかし、落葉に含まれるリンや窒素量は樹種により異なるものの、落葉樹種の違いが湖沼生態系にどのような影響を及ぼすか良くわかっていない。そこで、様々な樹種の落葉を栄養とエネルギー源としたマイクロコズム実験を行い、樹種の違いが水圏食物網にどのような影響を及ぼすかを調べた。実験は昨年までに修了し、本年度5月修了を目指して実験結果の解析をすすめ、すでに出版されている論文に加え、あらたに2本の論文としてまとめた。そのうちの1つは、腐葉土から放出される溶存栄養塩が、藻類の成長、バイオマス生産、および細胞内元素比率にどのような影響を与えるかを解析した論文で、温帯樹木11種の葉から水圏に放出される窒素(N)、リン(P)、その他の元素に対する緑藻類の反応を報告した。その具体的内容は、異なる樹種からの腐葉土浸出物は、藻類の細胞量とC:N:P比を変化させ、二次生産に影響を与えることを示したものである。この論文は、国際誌Ecological Researchに投稿し、現在minor revisionとして審査中である。もう1つの論文は、ブナ、コナラ、スギ、コメツガの落葉を用い、その栄養塩・有機物溶出液を培養液としたマイクロコズム実験の結果である。実験は水圏微生物群集を構成する藻類、独立栄養鞭毛藻、藍藻類、細菌、菌類、従属栄養鞭毛虫を対象に、その細胞数の動態を追跡した。その結果、藻類はブナ、コナラ、スギによる培養液で良く増加したが、独立栄養の鞭毛藻の増殖はそれら樹種の培養液では低かった。このように、独立栄養生物(藻類、独立栄養鞭毛藻、藍藻類)と従属栄養生物(細菌、菌類、従属栄養鞭毛虫)の応答は、異なる樹種の培養液によって異なることを示した。この結果は、国際誌Freshwater Biologyに投稿し、現在minor revisionとして審査中である。
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